LO-01のポリモーフィズム - LO-01前半戦(戦いなんか?)を終えて

 LO-01の使い倒しシリーズも、開始から三ヶ月が過ぎて前半戦終了というところです。プロ野球もオールスター休みに入っていることだし、ここらで釣行レポートは一休みして、釣り竿への思いをつらつらと綴ってみることにします。

その壱:マルチパーパス指向の竿選び

 釣り竿を選ぶとき、できるだけ色んな釣りに使いたい、と考える人は少なくありません。これは特に沖釣りを始めたばかりの入門者にある傾向です。理由は簡単で、金銭的な問題。ふつーの勤め人にとって、一回釣り船に乗るときの費用、交通費や食費なんかも合わせると一日で1万円前後掛かるでしょう、は決して軽いものではありません。そして、沖釣りは実に多彩なターゲットを狙えます。狙う魚の多彩さでは、沖釣りは他の釣りのジャンルを大きく凌ぎ、さらに魚ごとに道具が変わってきます。乗船料に加えて、対象魚ごとに道具を揃えるとなると、入門者への金銭的な負担はけして軽いものではありません。

 もちろん、10年、20年釣りを続けて、竿やリールをとことん使い倒せば魚種別に竿やリールを揃えた甲斐はでてくるのですが、釣りの入門者のみんながみんなそこまで釣りにのめりこむとは限らないです。釣りを自分の趣味の第一のプライオリティにしない人もいるし、沖釣りを経験していくうちに自分にあった釣りが見つかってその釣りしかやらない、という人もいます。ここらへんの事情は百人百様で、一概に言えません。

 では、船宿で道具を借りればいいという考え方もあります。これはこれで正解。試しに深場釣りをやってみたい、でも道具が高くて…という時に、竿リールに仕掛までセットでレンタルしてくれる船宿だってあります。ちょっと試しに、という人には貸し道具は便利です。反面、自分の所持する道具で釣る、という満足感も釣りにはあります。よく、「愛竿」という言葉が使われますが、たくさん魚を釣ってくれた自分の竿には、それなりの愛着がわくものです。

 さて、私はといえば、釣りを始めた頃は、道具を買う費用をすべて船代にまわして、一度でも多く船に乗って経験を積みたいという考えでした。つまり、道具代よりも釣行費用優先で、釣りにお金を使っていました。こういう場合、買った竿はなるべくいろんな釣りに使いたい。いわゆる万能竿でマダイやワラサなどのコマセ釣り、そしてヤリイカや根魚など、たくさんの釣りをしました。その頃に使っていた竿はノーブランドの安物。オモリ負荷50号で長さは2.7mの竿でした。これと浅場用に2.1mのスペアトップ付の竿があれば、ある程度の釣りはカバーできました。沖釣りを始めた頃、ひとつの竿でいろんな釣りをやることによって、使いにくい部分、妥協できる部分などがわかるようになります。この入門者の頃の経験は、今となっても竿を選ぶときに生きていると考えています。

 これから釣りを始める、あるいは沖釣りを始めたばかりでこれから色んな釣りを経験したい、という人は、まずは所有している竿をなるべく使いまわして、釣行回数をなるべく多くして、釣りと竿に対する理解を深めるようにするのが良いと私は考えています。

その弐:スペシャルロッドの魅力

 沖釣りに行く回数も増えた、いろんな魚種も経験した、あれこれといろいろな釣りに同じ竿を使っていると、いろいろ不満がでてきます。これは当然のこと。魚が変われば釣り方も変わるし、港や海域が変わってもまた釣り方が変わってきます。一本の竿を使いまわししてある程度釣れても、「穂先が柔らかかったらもっとアタリが取りやすいのではないか」「胴がもっと粘れば、ハリスを切られずにすんだのでは」という不満がでてきます。こうなると、その釣り、その釣り方にあった専用の竿が欲しくなります。

 自分の目的にぴったりあった専用竿がみつかれば、その使い心地は抜群で、釣り自体の楽しさが1ランクアップするでしょう。スミイカ釣りでは、極先調子と柔らかな穂先との組み合わせで、テンヤに微妙なコントロールを与えることが可能ですし、深場釣りでは、海底にオモリが触れる僅かな感触を専用竿は確実に表現してくれます。コマセダイの置き竿釣りでは、船の揺れを竿が吸収してくれて、ビシの動きは手持ちで集中したときに近くなります。

 沖釣りで本命として狙う魚は、ざっと数えても30はくだりません。使うオモリも4号〜600号、狙う水深も3m〜1000mと、ハリスの太さは0.8号から100号と、非常に広いレンジを持ちます。当然ながら釣り竿も各メーカーから数えるのが面倒なくらい^^:の種類の竿が発売されています。これらの中から、自分のやりたい釣りにあった竿を見つける楽しさを覚えてしまうと、最初は3本しか持ってなかった竿が10本、20本と増えていきます。これは趣味の世界ならではの楽しさなんですよね。仕舞ってある数多の釣り竿の中から「明日はこれを使うか」と選んで釣り支度をするのは、紛うことなく釣りの楽しみの一つであると思います。

その参:自由な竿選びの楽しさ

 では、専用竿を揃えてしまえば、それで釣り竿選択の楽しみは終わりか、というとそうでもないんですよね。あえて正解を外して釣る楽しさというのが存在すると私は考えています。もし、釣果第一優先だとすると、正解の竿はほぼ一意に決まります。スミイカにはこの竿、マダイにはこの竿、というように、自分の持っている竿の中で、一番効率がよく、釣果を得るのに有利な竿の選択は可能です。しかし、これに釣趣や満足感を加味すると、ちょっと事情が変わってきます。「少しやっこい竿で引きを楽しもう」「お気に入りのキス竿で、フグも釣ってみよう」というような気がでてきます。

 私は、沖釣りの楽しさは多面的に捉えることができると考えています。魚を釣ること自体の楽しさの他に、食べる楽しさ、仕掛を作る楽しさ、人に食べてもらう楽しさ、仲間と船の上で過ごす楽しさ、釣りの行き帰りに見知らぬ土地に寄る楽しさ、などなど、「魚を釣る」ことから派生する楽しさがたくさんあると思っています。「竿選び」も、その楽しさのひとつになります。

 ちょっと例えを変えて、箱根にドライブに行くと考えてみます。もし私がアラブの石油王であれば、今日はオープンカーで風を感じて、とか、リムジンで静かな旅を、とか、ポルシェで峠をガンガン攻めて、とか、車選びひとつを取ってもいろいろな選択肢があるかもしれません。現実的には私の持っているのはぼっけいワゴン一台だけなので、選択の余地はないんですけどね^^;。車では選択の余地がなくとも、釣り竿には選択の余地がたくさんあるわけです。

 で、毎回の釣行予定が決まるたびに、今回はこれを使ってみるか、と選ぶことになります。選ぶ竿を替えるレンジは、釣行ごとの場合だけでなく、新製品の竿がでたから、それを買って使ってみようとか、数年にわたるレンジの場合もあります。また、どんな釣りでも竿をあれこれ替えるわけではなく、ひとつの釣りに気にいった竿をずっと使い続けている場合もあります。つまり、制約のない中で、自由きままに竿選びを楽しんでいるということです。

LO-01をここまで使ってみて

  さて、LO-01をいろいろな釣りに使っているわけですが、これは「お気に入りの竿で色んな魚を釣ってみたい」という理由です。(まあ、もともとのきっかけは使ってみてくれと頼まれたことですが^^;、それでも使い込むうちにLO-01はお気に入りの一本になりました)。LO-01は、職人さんがこだわりを持って(言い換えればコストを気にせず)、作った竿です。表看板はシロギス竿ですが、それ以外の釣りでも意外な面をみせてくれるという特徴があります。メバルも、フグも、マゴチも、私は専用の竿を持っています。それでもあえてLO-01でこれらの魚種を釣ることで、「お気に入りの竿がいろいろな魚を釣っている」という満足感を得ることができるのです。

 加えて、沖釣りを始めた頃のフレッシュな気分を味わっているというのもあります。船代にお金を使っていて、専用竿を買いたくても控えていた頃の時代の気分ですね。当時に比べるとスキルはアップしているので、LO-01の持つメリットを引き出しながら、デメリットをカバーする釣りができているかな、と自分では思っています。無理して向いてない釣りに使っているわけではないので、それなりに楽しい釣りができています。

 最後に、LO-01はどんな人にオススメなの?ということをよく聞かれるので、この機会に書いておきます。LO-01の特徴はひとことで言えば、"High Performance, High Price"(なぜに英語^^:)です。\54,600という価格はかなり気合を入れないと買えないでしょう。これから釣りをやってみたいけど手頃な竿はなんですか?というような人にはオススメしづらいし、釣れればとりあえずいいや、という人にもちょっと…。じゃあ、どんな人に?という条件を挙げてみました(ORで読んでください)

    ・水深50m以下、オモリ30号以下の浅場釣りに心を捧げて気合が入っている人
    ・長く付き合える伴侶としての一本を求めている気合の入っている人
    ・釣り道具に投資する十分な経済力を持った気合の入っている人
    ・弘法大師に心酔し釣りは竿よりも腕だと気合の入っている人
    ・沖釣りの酸いも甘いも噛み分けて気合の入っている人

とまあ、必要条件は「気合が入っている」ことかな?^^;; このページまでたどり着いている方(というより、この長文をここまで読んでいただけた方)は、おそらくみなさん沖釣りには気合は入っていると思うので、よろしければLO-01はじめEFシリーズを使ってみてください、と、最後はありきたりの宣伝で締めさせていただきます^^;;。

2005/07/23

 

 

 

 

 

 

 

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