紀州から伝わり、大原で洗練を極めたのがビシマ釣りです。中オモリを使わずに、道糸に一定間隔で配分された切り鉛により、道糸自体が重量を持っていることと同じ効果が生まれます。

 他の釣場ではエンジンをかけたまま船を流して、道糸を立てるようにします。道糸を立てるとは、下潮の流れに合わせて船の流れる速度を調整し、糸がまっすぐに下りて行く状態を保つことです。

 しかし、大原ではエンジン流しではなく、パラシュートアンカーで船を流します。広大なポイント、かつ複雑な地形によって頻繁に変わる潮流の向きに対応できるのは、ビシマ仕掛しかありません。時には100mもの水深をこの仕掛で攻めることもあります。

 立ちの取り方は何通りかありますが、水深より余分に糸をだし、カブラが底に付いた状態で糸を手繰り、カブラの重みが伝わったところで離底を判断するのが基本です。また、道糸を弾いて、カブラの踊りの有無を判断する方法もあります。

 この仕掛を持ってしても、潮方が悪いときには立ち取りは困難な場合があります。最初に道具を入れたときには立ちが取れても、糸が吹き上げられたり、スパイラルに曲げられたりすると踊りがとれなくなることもしばしばあります。こういう時には、一旦仕掛を上げて入れ直し、立ちを取ったらその後は「勘」で糸を出す釣り方もあります。

 奥の深い釣りですが、初心者の方がよく釣ることもあるのが不思議な釣りで、並み居るベテランを尻目に、初めてビシマをやる人が大鯛を釣り上げることもしばしばあります。

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