では、釣り方なんですが、特徴を大きく3つに分けてみました。

釣り方その1 − ビリビリとしゃくれ!

この釣り人も、シャクリスピードは強烈でした。

 鴨居も竹岡もシャクリダイという名前が付いているんですが、そのしゃくり方は竿をスーッと持ち上げるような感じ、かなり上品なしゃくり方になります。野毛屋のエビタイのしゃくりはとてもバイオレンス(笑)です。エビが海底から思いっきり跳ね上がることをイメージして、バシコーンとしゃくります。

 勇治船長にそうしろと言われたとき「そんなハイスピードでしゃくったらエビが取れちゃうじゃん!」と思った。でも、意外にエビは丈夫です。しゃくっても取れない。つまり、エビが取れるんじゃないかと心配するくらいに強いシャクリを入れるわけです。これは従来のエビタイの釣り方ではなかった。

 シャクリが強ければ強いほどアタリは良い、というのが勇治船長の話。確かに、私が乗った日に6枚を掛けた釣人のしゃくり方は、船の中で一番強かったです。

 私もビシバシしゃくっていたんですが、体力持たないので途中からスミイカスタイルのダブルハンドシャクリに変更しました。これだと体力はかなり楽です。ちなみに、釣った人は脇挟みスタイルのストロングシャクリでした。

釣り方その2 − 底を叩け!

 オモリが着底したのを感知する、すなわち「立ちを取る」のが野毛屋スタイルの特徴。これは、ビシマや鴨居立て釣りと共通することです。手釣りの繊細な感覚で取っていた微妙な底立ちを、竿釣りでとることができたのは、やはり細いPEラインの登場のおかげでしょう。野毛屋では2号の細いラインを使います(2号より細くするのはトラブルが増えて逆効果なので注意)

 で、立ちを取るためには、中オモリを軽く、テンヤを重くするのが鉄則です。しかし、従来は、テンヤを重くすることを釣り人は嫌いました。これは、テンヤが重ければ重いほどタイの食いは落ちる、と言われているためです。実際に、大原でもカブラは可能な限り小さくする傾向がありますし、小さめのカブラを使う人がコンスタントに釣っています。

黒川勇治船長が打ったテンヤ。15号と18号。

 しかし、勇治船長は「立ちを取れないとしょうがない」とのポリシーで、テンヤを大きくします。そのサイズは15号、さらに潮が速いと18号。不思議なことに、テンヤが大きくても食ってくるんです。これまでのセオリーにc忠実に10号でしゃくっていた私より、18号でしゃくっていた人にアタリが多い。そして、10号から18号に替えたとたんに私にもアタリ、ということがありました。勇治船長曰く「道具の落ち着き方が違うんじゃないかな」とのことですが、これまで経験則によるもので、既成概念に縛られないところが勇治船長らしいです。

 釣り方は、テンヤをバシコーンとしゃくる、糸を張ったままゆっくり落とす、テンヤが底についたらまたバシコーンとしゃくる、この繰り返しです。アタリが出るタイミングは不定です。

釣り方その3 − 餌は縛れ!

 活きエビは頭を糸で縛る、いわゆる鴨居スタイルです。こう縛っておけば、激しいシャクリを繰り返しても餌はとれません。

 余談ですが、私は活きエビの付け方でこの方法が一番好きで、水中でのエビのひらひらした姿勢が美しいこともあります。手間が掛かるので、餌取りが多い場所では使えないですが。

餌は活きたアカエビです

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以上の3つがポイントです。

激しいシャクリを入れるのは、野毛屋だけの釣り方でしょう。また、PEラインを使って竿釣りで底を取るのも他にはない釣り方です。

次に、メリットとデメリットを考えてみましょう。

 

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