専用竿の汎用性(1)

沖釣りというジャンルの特徴をひとつ挙げるとするならば「多彩なターゲットがある」という事はまず外せないでしょう。で、それぞれに釣り方が違っているもんで、ひとつひとつ専用の道具を揃えるのがまた大変なんですね(道具集めが楽しいという人もいるけど^^;)。

そこで誰でも思いつくのが、竿の使いまわしという事です。まあ、マダイ釣るのとヤリイカ釣るのとシロギス釣るのではまったく違うつり方なんで、 すべての沖釣りを同じ道具で済まそうとするのは不可能なんですが、それでも色んな釣りに使える竿というのは重宝するもんです。

よく万能竿みたいな名目で売ってるのはありますけど、あれはあんまし良くない。値段は5000円程度と安いから思わず買ってしまうこともあるけど、結局安物買いの銭失いになることが多いです。

ここでは本格的な釣りオヤジでも満足できる調子、性能を持った汎用竿というのを経験から紹介してみます。とは言ってもどこらへんのターゲットに絞るかというのは難しいので、まずは「この竿はこんな釣りで使えたよ」というアプローチがわかりやすいかと思います。

ここ最近で、これは色々使える、と思ったのはタチウオ竿です。シマノの海攻タチウオ240という竿で、長さは2.4m、適合オモリは80-120号というところです。いわゆる7:3調子竿という竿(シマノ海春、ダイワ剣崎)よりも先に調子が掛かっています。それでいて曲がりが大きいため魚掛けてからとても扱いやすい。軽量設計のため感度が良い、という特徴があります。

最初、タチウオ竿なんてタチウオくらいしか使わんだろう^^;と思ってたんですが、それがどうしてどうして、いろんな釣りに使ってみたら実に具合が良かったです。ちょっと羅列してみましょう。

・久里浜沖タチウオ
これは専用竿だけあって、80号オモリを誘い上げるのに持ち重りしないのが楽です。タチウオの重い引きもためてくれてよい調子。

・久里浜沖オニカサゴ
80-100号のオモリで誘い続ける釣りなんで、やはり竿の特性がマッチします。外道の食い上げのアタリなんかもよくわかる。

・走水沖マアジ
120号オモリは辛いかな?と思ったけど、胴の張りがあるのでしっかりコマセが振れて問題なし。2.4mの長さも扱いにくいと感じませんでした。

・大磯沖カマス
まるでカマス専用竿か?というくらいぴったり向いてます。120号オモリで誘い、合わせてカマスの口に掛ける。カマス専用竿てのは市販されてないんですが、これをそのまま売ってもいいですわ。

・久里浜沖マルイカ
100号のオモリで誘い、微妙な乗りをとるための感度の点で及第点です。マルイカ専用竿に負けません。

・城ヶ島沖アマダイ
これも手持ちの誘いが楽なのと、餌取りのアタリがわかる感度の良さがききます。

・長井沖ヤリイカ
ヤリイカ専用竿ほど調子が先に掛かっていないため、専用竿には負けます。しかし、胴の粘りは扱いやすく、十分通用するレベル。

・大島沖夜ヤリイカ
昼よりも浅く、オモリが軽い夜釣りでは、ヤリイカ専用竿をしのぎます。

・利島沖夜アカイカ
120号オモリで誘い、アカイカの強烈な引きを胴でかわす。これまた専用竿といってもいいほどフィットしてます。

・城ヶ島沖オキメバル
100号オモリでサビキ仕掛けを操ります。2.4mの長さがちょうど良いところです。

・久里浜沖ムギイカ
ハードにシャクリを入れるこの釣りでも、先に掛かった調子と胴の張りで疲れは少ないです。多点掛けにもしっかり耐えてくれます。

と、ざっと挙げただけでも10種類の釣りがでてきます。この他にも使えそうな釣りはまだあります。クロムツとかアラ五目とか夜キンメとかとか。

つまり80-120号を使い、ライトな誘いを入れる、で、魚の負荷は1〜2kgくらいまで、そういう条件であれば一本のタチウオ竿で使いまわしできるんですね。それも、調子が向かないのを我慢して使ってるわけではなくて、専用竿と同等あるいはそれに近いフィーリングで使えます。

このような竿の使いまわしは他にもいくつかあります。これに青物やマダイを加えたければ、もう少し胴に掛かる竿を選んで使えばいいです、しかし、そうするとスルメのようなシャクリ主体の釣りに対する操作性がスポイルされます。調子は同じままで、もっとオモリ負荷の軽くて短い竿を選択すれば、鴨居のシャクリダイやイサキ、ハナダイがレパートリーに加わります。しかし、この場合は深場の120号オモリを使うターゲットはレパートリーから外れることになります。

竿の名前にとらわれず、その竿の調子と、ターゲットの特性を理解して、いろんな釣りに使ってみるのも新しい発見があると思うわけです。ひとつの竿でも、それでいろんな釣りを経験してみれば、釣りに対する理解が深まってきます。みなさんも御自分の愛竿で色んな釣りにトライさせてみてください。色んな発見がありますよ。

2001/5/9 Yasuhiro Ii

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