手軽な深場釣り - 相模湾アコウ

 深場釣りというと、かーなりヘヴィなイメージ持っている人が多いんじゃないでしょか。針数30本で治具使って、錘は鉄筋2kg、竿とリールはごっつい。投入のたびに仕掛けを交換して、と、イニシャルコストもランニングコストも掛かる、というので手を出さない人も多いんじゃないかと思います。確かに本格的(=職漁的)な深場釣りであればそれなりの投資は必要ですし、それなりの釣果も期待できます。しかしここでは本格的なアコウ釣りはおいといて^^;、オニカサゴやクロムツ釣りの延長で狙え、釣果もほどほどなアコウを紹介してみます。

あぶずり港からの乗合船

 葉山のあぶずり港でアコウ乗合を出しているのは「まさみ丸」。ここは同港の「愛正丸(こっちはつり丸に情報掲載してます)」 と身内で、どちらの宿でもアコウ乗合を出していますが、客の多少によって1隻、あるいは2隻と出し分けています。 というわけで、私が電話した宿は愛正丸なんですが、乗ったのはまさみ丸です。ここの特徴は低コストでリーズナブルなこと。 船代は10,000円で餌付き(氷は港の購買所で300円)です。レンタルの電動タックルは1000円、仕掛けは8本針で1000円、 オモリは250号で500円(これはちょっと高いか^^;)と、クーラーだけ持っていけば12,500円で釣りができます。

 ポイントも近場です。相模湾は北風に強いので、冬の季節風でも比較的静かな海で楽しめるのがいいところ。アコウが何十本も釣れるという爆発はまずないですが、まあ、食べる分には数尾あれば十分だし。それでも4kg,5kgの大型はたまに顔だすんで、数釣りを求めない人にはお勧めのところです。


タックル紹介

 水深は400-500mなので、リールにはPE8号が700-800m必要です。今回は電動リールを使いました。もともと私ってばあんまし電動リール好きくないんですが、寄る年波には勝てず、電動リールを購入しました。これまではアコウ、クロムツ、キンメなどの深場根魚にはPENNの345GTiにPE6号を800m巻き込んで使っていたんですが、なんか最近手巻きにコダワル情熱が薄らいできちゃった。最近の電動って性能いいんですよね、一緒に並んで巻くと電動の方が速いです。電動が出始めの頃は、手巻きの方が速かったので、手巻き使うのはぜんぜん気になんなかったのですが、手巻きで巻いててまわりより遅く上げるとどうも気になる、というか、まわりに迷惑じゃないか、という気持ちになります。で、買ったのがミヤマエのCommand X-4。PE8号800mとセットで\44,800。深場用リールも安くなったものです。

 竿はアルファタックルのDeepCruiser300Wを使いましたが、この釣りには250号オモリなのでちょとオーバースペック。胴付き調子でオモリ負荷150-200号程度の竿で十分です。仕掛けは胴付き8本針。この日は作る時間なかった^^;;ので、船宿のを購入しました。投入には治具不要で、一日同じ仕掛けで通せるのがここのアコウのいいところ。で、船宿で用意してくれる餌はカツオの腹身。タコベイトはお好みでつけていいです。フラッシュカプセルなどの光ものは不要です。

 投入は順番、巻き上げは任意

 深場釣りでは勝手に仕掛けを入れるのはNG。船長の合図に従って順番に仕掛けを投入します。針に餌をつけたら、船べりに並べて投入合図を待ちます。 針数は8本と少ないので、ひとひろくらいの間に収まります。「ミヨシから順番に」という指示の後「はい、最初の人いれて」で、ミヨシの人が仕掛けを投入。 オモリをポトンと落とすだけで仕掛けはするすると落ちます。面舵と取舵の仕掛けがちゃんと入ったことを確認し、船長は船をバックさせます。 「次の人いれて」で2番目の人が投入するとまた船がバック、こうしてトモの人まで順番に投入すると、今度は船を前進させます。 ポイントの真上にきたときには、仕掛けは船を中心として前後に広がります、しだれ柳みたいな感じ。これで深い場所でもオマツリが防げます。

 投入時に糸を引っ掛けたりして投入できなかった場合は、その流しは一回パスになります。一番緊張するのはこの投入のとき、 でもこの日は全員がノーミスで投入してました。慌てなければ易しいものです。

 

← この日の釣果を倅に持たせてよくある記念写真^^;。ガキが持つとでかく見えますね。実際はキロ半くらい。アコウ6本にキンメ1尾の釣果でした。

 

深場釣りの楽しさって?

 よくイカ釣りのことを面白くないという人がいます。魚のように引かない、とか、竿を叩くアタリがない、とかがその理由。しかし、イカ好きの人は、 イカが乗った瞬間のズシンとした衝撃、巻き上げ途中の重量感に楽しさを感じるものです。深場釣りの嫌いな人は、竿をロッドキーパーにかけっぱなし、 誘いもない、などの理由が多いようですが、それでも深場釣りには深場釣りの楽しさがあります。

 ひとつはあたった瞬間。アタリの出方によって、本命アコウが外道かは大抵判断つきます。アコウの場合は、糸を送ります。 これは追い食いをさせて多点掛けを狙うため。糸を送って待つとまたアタリ、さらに糸を送るとまたアタリ。 「うひゃひゃ、アタリが続く続く。いくつ食っただろう?」このワクワク感はアコウ釣りが一番。

 もうひとつは巻き上げ途中の抵抗。海底から浮かすときに竿がグィーッと曲がり、巻き上げる途中で魚が抵抗し、ガクガクッと竿先を叩く。 あと300mでガクガク、あと200mでガクガクガクッ!「うしし、今度は型が良さそうだ」深場だけに上げる時間も長く、竿先が叩かれる 時間も多く楽しめます。  そうしていよいよ仕掛けが上がると、水の中に深紅の塊がポツリポツリと浮いてきます。これが最後の楽しさ。浮いてくる魚を船の上に 引っ張りあげるときに、嬉しさはピークになります(^^)

 この日も、最初の三流しまではアタリも遠かったものの、初のアタリに糸を送るとガツッ、ガツッとアタリが続きました。このときのワクワク感は相当なもの。上がってきたのはアコウ2つにキンメの嬉しいオマケ。次の流しではアコウ三点掛け、と深場釣りの楽しさが満喫できました(^^)。

 

根魚は旨いのだ

とりあえずは刺身にしましょう。アコウも他の根魚同様の白身魚、しかも味が深いのが特徴です。これに対し、キンメの刺身はアコウよりも柔らかめ で脂の乗りがたっぷり。アコウ&キンメの刺身盛り、ツリオヤジでもないと滅多に口にできません。刺身に飽きたら、しゃぶしゃぶもOK。

 次は鍋。やっぱり冬場の鍋はいいです。中骨で濃厚なダシがとれます。これにしょっつるを軽く加えて隠し味にしてから、アコウのぶつ切りを放り込む。 白菜人参椎茸野菜はお好みで。水炊き仕立にしてポン酢でいただくと、日本酒が進む進む(^^)。あと、味噌汁もぐっど!

 頭はぜったい捨てては駄目。甘辛く煮付けると、ゼラチン質が滲み出てきてうまい煮汁ができます。煮ると頭はばらばらに崩れるので、 箸で頬肉、鰭肉、頭の肉、喉の肉をつつきながら煮汁につけて口に運ぶ。うまうま(^^)。残った煮汁はお湯で割って即席スープに、これがまた旨いんだ。

 さらには、味噌漬け、塩麹漬け、粕漬けなど、漬物系はなんでもござれ。漬けてから冷凍しておくといつでも美味しい焼き物が食べられます。  というわけで、6尾のアコウは余すことなく料理できました。 ということで、6本のアコウは料理に十分な量で楽しめました(^^)


2002/2/19 Yasuhiro Ii

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