アオリイカ、三浦遊漁船史上最大の当り年

驚異的な湧きの2004年

 2004年、この年はおそらくアオリファンにとって後々に語り継がれる年になるに違いないです。相模湾に初のアオリ乗合が登場してから10年間、これほどの魚影の濃い年はなかったです。異常とも言える釣果が続出している中、しばらく眠っていた餌木を取り出してひさしぶりのアオリ釣りにいってきました。

 船宿は茅ヶ崎の一俊丸。3年前にはつり丸のアオリイカ取材でお世話になった船宿でもあります。この日は又福丸がアオリ乗合になり、三橋甚一船長が操船。10月16日は開始3日目なんだけど、Web情報が好調を伝え、土曜日ということもあり、船は満員御礼でした。7時出船、ポイントは港のすぐそば、烏帽子岩近辺の20-25mダチ。

トップ10杯、秋にしては良型中心で魚影の濃さを体感

 朝の流しから好調、特にミヨシ側では入れ乗り状態もありました。その後、潮が止まり乗りはおとなしくなり、後半にまた潮がきてトモ側中心に乗ったというのがこの日のパターン。右の写真は田中氏の800g級、10月にしては良サイズです。500-700gが中心で、たまに300gの小型が混じるのが本日のパターンでした。

 頭は10杯、なんだ騒ぐほどの釣果じゃないじゃん、と思われるかもしれないけれど、この日は休日の満船状態で、ほとんどの人が型をみています。通常の年なら、年に一度あるかないかの好調状態。しかし今年はこの釣果が褪せるほどの状況です。
  朝はミヨシ側右に流れる潮で、ミヨシ側がほぼ入れ乗り状態。すぐに潮が止まってしまい、ぽつりぽつりの拾い釣り。午後になって潮方が左に偏って、わたしのいる左舷側が好調になりました。テトラ竿をぎゅんぎゅんと絞り込むアオリの引きを楽しみ、満足のいちにちで、私の釣果は6杯でした。普段の年なら、大漁の釣果です。

 

この日はノーマルカラーが乗りよし

さて、アオリ釣りでいつも迷うのが餌木のチョイス。まあ、迷うのは当然なんで、あれこれ餌木をチェンジしながら、乗る色を探していくのがこの釣りの面白さではあるんですが、この日は午前はピンク、午後はオレンジの定番色に乗りがよかったです。もちろん、乗りの良い色はみんなが使うんで、意図的に違う色(青、緑、茶等)を試してみましたが、この日はピンク、オレンジが強かったです。

左:この日に働いてくれた餌木

右:査定が付かなかった(笑)餌木、次回は頑張ってね。

爆発開始は台風22号通過後の10月12日

 もともと今年のアオリは好調でした。アオリの定宿、金沢八景の野毛屋では、開始からコンスタントに船中2桁、スミイカ併用で狙っていなければもっと数 は伸びたでしょう。相模湾西側では小田原の泰三丸が船中100杯オーバーを記録。相模湾東岸では、長井の小見山丸が船中96杯を記録と、アオリ好調が十分に感じられるシーズン開始でした。

 台風22号が伊豆から神奈川を直撃して、その影響が収まった10月12日、爆釣に輪がかかります。13日に小見山丸でトップ46杯!(船中136杯)、14日には沖右衛門丸でトップ52杯(船中565杯)という、異常な釣果がでました。とてもアオリイカの釣果とは思えない数字です。

 

釣り過ぎにはご注意

 しかし、ここでひとつ注意しておきたいことがあります。この絶好調なアオリの釣果、これが当然だとは思い込まないようにしたいものです。そんなの当然じゃん、と思うかもしれないけど、これがなかなか特に初めての人はアオリはたくさん釣れるもの、という先入観を持ってしまうとよくないです。もう17,8年前でしょうか、東京湾でマダコが爆発的に釣れました、テンヤを落とすと乗ってくるという状態。誰でも簡単にタコが10,20釣れ、トップは束釣りという恐ろしい^^;釣果でした。この年にマダコ釣りを覚えた人は、翌年からの「普通の年」に物足りなさを感じてしまい、タコ釣りの客は年々減少しています。好調な釣りものは年によってたくさんあります、今年の初夏マルイカ、夏ワラサなんかも例外的な釣れっぷりの年。楽に釣る味を覚えてしまうと、その釣りのもつ本来の面白さが見えなくなってしまうんじゃないかと私は思っています。アオリ釣りは、まずは型をみるまでに苦労し、いかにその日の釣れるパターンを探るかなど、様々な面白さがあります。魚影の濃さ薄さに惑わされず、こういう楽しさをなるべく多くの人に楽しんで欲しいと思っています。

右写真:この日のタックル。テトラ穴釣り用の竿に、ABUの4500CB。道糸はPE2号だけど、先糸にナイロン7号を10mつけています。この先糸が大型アオリをリール竿でゲットするためのアイテム。中オモリは棒型の10号です。

 なんてじじくさいことを書きましたが、今年が好調で、さらにイカの中で最高の美味とされるアオリイカをゲットするには、今は絶好のチャンスなのは間違いありません。まだアオリは未経験という人や、まだ型をみてないという人は、速攻で釣行することをオススメします。アオリ釣りの魅力をこのチャンスに知って欲しいです。

 右写真:料理前でも変化を続けるアオリの色素胞(chromatophore)。この鮮度のアオリが食べられるのは釣り人ならでは。アオリはきちんと締めて持ち帰って、鮮度の良いうちは薄く引いて造りにするのが美味。1,2日間寝かせると甘みも強調されます。

Topへ

2004/10/16 Yasuhiro Ii

 

inserted by FC2 system