東京湾、秋の風物詩 - 富津沖のイイダコ

9月になると開幕するのが富津沖のイイダコ釣り。この釣りがまたひと味違った面白さがあります。 特徴は餌のラッキョウ、釣りを知らない人は目を丸くする奇天烈な餌です。正確に言えば、ラッキョウは疑似餌ですね。ラッキョウの白が、イイダコの好む貝に似ているというのが通説だけど、まあ、なんでラッキョウが好きかはイイダコに聞いてみないとわかりません。

 ラッキョウをくくりつけた7号のテンヤをことことと動かし、イイダコが乗った重みを察知して合わせるという、シンプルな釣りですが、それなりに奥は深いです。慣れてる人は300杯オーバーの数釣りも可能な釣りです。

釣ったイイダコは右の写真のような網に入れます。バケツではタコが脱走するし、クーラーに入れるとフタを空けるたんびにタコの脱走を食い止める羽目になるためです。

 この釣りだけは、専用竿が市販されていません。専用の竿が欲しければ和竿師に作ってもらうか、自作するしかないです。しかし、イイダコの道を究めるならともかく、普通に釣るにはシロギス竿で十分。先調子で、穂先がグラスソリッドのキス竿が一番使いやすいです、ようするに、1000-2000円で売っているような安価なキス竿が適しているわけです。

 この日にお世話になったのは富津の寿々春丸さん。 富津沖のイイダコポイントは地元の船しか入れません。寿々春丸の秋の看板はもちろんイイダコ。人気の釣り物なんだけど、当日は雨模様もあってキャンセル続出。片舷2人ずつとちょっと寂しい出船。

 ポイントは港をでてすぐ。富津岬の北側になります。前日に比べて乗りは渋いとのことだけど、それでも乗り乗りで、数は伸びてバケツの中は左の写真の通り(^^)
(右の写真は当日乗った船)  この釣りのポイントは、イイダコの乗りを取れるかどうかに掛かります。イイダコのサイズは大中小交じり、14cm級の大は比較的簡単なんだけど、7cm級の小の乗りをとるのは、コヅキ方次第。ここらへんはつり丸の2004/10/01号にちょっと書いてみようと思ってます(今日は取材でした、まだ原稿書いてないけど^^;)。

 バリバリ乗りやバリ乗り、チョボ乗りなど、ペースは変わりつつも一日乗り続けて、私の釣果は189杯。これにマダコやスミイカが交じります。船の釣果は、155-257杯、まさにイイダコ絶好調。今年は湧きがいいと、船長も女将さんも口を揃える状況です。

 左の写真は189杯のイイダコをクーラーに移したところ、イイダコにとっては地獄絵図だろうなぁ…^^; 下の写真は交じりのマダコ、500gくらいかな。スミイカは写真とろうと船べりでぶらさげてたら落ちちゃいました^^;。


イイダコを漢字で表記すると「飯蛸」。英語で言えばRice Octopus(こちらはいい加減^^;)  これは秋から冬にかけて飯粒のような卵を持つからなんですが、今日釣ったイイダコの中に1杯だけ卵を持ってる超早熟なのがいました。 左の写真で右に白く見えるのが卵。カメラの解像度が悪いんで飯粒には見えませんが。   秋も深まると良型化して卵を持ちます、寒くなる時期なのでおでん種にイイダコに通う人も多いです。 対して、初期のイイダコは身が柔らかくてどんな料理にも合うのが特徴。


下拵えは簡単。水管の上にある筋をハサミで切って、頭をひっくり返して内臓を取るだけ。目とカラストンビはそのまま食べられます。塩で揉み洗いしてから、軽く茹でたのが左の写真。このまま山葵醤油で食べてもOKだし、和洋中いろんな料理のネタになるんで重宝します。すぐに食べない分は、内臓をとらずに冷凍しておけば保存も効きます。

 沖釣りの中では、かなり異色の釣りになると思うけど、独特の釣趣があって楽しさは抜群、年に一度はいきたい釣りのひとつです。次回は娘を連れていってみたいな。

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2004/09/04 Yasuhiro Ii

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