お手軽な大物釣り、イカブリの魅力

イカブリのあらまし

イカブリという釣り、最近ではマイナー化しつつあるので、初めて聞いた方も多いのではないでしょうか?活きたヤリイカを餌にブリ/ワラサを釣る、という食物連鎖な釣りです。まずはヤリイカを釣り、それを活かしておいて場所を移動して、イカを泳がせてブリ/ワラサを狙う。餌が活ヤリだけに、近くに大物いればなんでも食ってきて、ヒラマサ、カンパチも入れば食う、モロコも上がったこともある、という手軽な大物狙いです。

船宿にとっては、コマセとか餌を用意しなくていいので楽、釣り人にとっても、ヤリイカを釣ってあるのでブリが釣れなくてもヤリイカのおみやげがあるという一石二鳥の釣りです。が、その反面、いい釣りができる条件が厳しくなります。まずは餌のヤリイカが釣れていること(あたりまえか^^;)、もうひとつはブリ/ワラサの群れがいること、これらの2つの条件が揃えばいい釣りになりますが、そうでないときはボウズもあたり前。よって、出船タイミングも限られてきます。ほぼ毎年通っているんですが、ここ数年は餌のヤリが思うように釣れなくて苦労しました。

古くから行われている釣りですが、ブリの大きな群れが相模湾にがんがん入ってきてたのは私が生まれた頃^^;。年々ブリの数は少なくなって、ワラサが中心の釣りになりつつありました。しかし、そうは言っても初島まわりはブリの回遊する数少ないポイント。5年前のブリフィーバーは記憶に新しいところです。

さて、わたし、この釣りにしばらくハマってた時期があります。この釣りに味をしめちゃって、コマセ釣りのワラサにぱったりいかなくなった時期もできたくらい。ところが、ここ数年は空ブリばっかり^^;。思うような釣果に恵まれませんでした。ところが今年はうまい具合にイカもとれ、ワラサの食いも活発というよい状況でした。(珍しいことでもあるし^^;)ちょっくらレポートしてみます。

イカブリタックル

泳がせ釣りなので、あんまり調子こだわることはないです。ブリ/ワラサの引きに耐えられる丈夫さと、食い込ませるためのやや柔らかめの穂先があればいいです。オモリ負荷は50号前後、長さは2.7m前後が使いやすいと思います。ちょうどカモシ釣りに使うようなロッドが最適です。最近はワンピースロッドが多く市販されているので、6-10LBクラスのものを使うのもいいかと思います。私は6LBS-2.4mの竿です。
リールは8号が200-300m巻けるくらいの。これも使い慣れたのがいいでしょう。道糸はPE8号。私はABU Ambassadeur9000CLでした。
オモリは120号を使います。 これを大型の片テンにつけます。片テンは丈夫なのを使ってください、これは大事。サルカンの大きなものを選んでください。クッションゴムを付けるひともいますが、私はつけません。付ける場合は4mmを1mくらいあればいいでしょう。
ハリスは12号を4.5m、針はヒラマサ針の16号から20号くらいです。イカを使うため、孫針仕掛けにします。針の上には5号ほどのナマリを打って、イカが浮かないようにします。イカダイの仕掛けと似ているけどちょっと違う。
ハリスはもっと太くてもいいかもしれません、何がくるかわからないってのもあるし、漁師の船に乗せてもらったときにもらった仕掛けは30号でした(竿が心配になった^^;)。

あ、そうそう。忘れてはいけないのはイカ用のタックル^^;。まずは餌を釣るので、イカ竿も用意しなければいけません。夜イカなので、オモリは80号と軽いです。昼用のイカ竿でもいいし、コマセシャクリ用の30号-2.1m位の7:3調子でもいいです。ツノはヤリイカ用11cmのを5-6本、昼の仕掛けと変わりません。狙いはヤリイカなので水中ランプも不要です。

ヤリイカは超強力な餌

この釣りの特徴はなんといっても餌。活きたヤリイカといえば、これを専門に狙う乗合は数知れず、美味しいイカです。人間が食べても美味しい、もちろんブリにとっても大好物。これを使っちゃうんですね。この餌は強力で、イカ一杯魚一本、10杯あれば10本とれる、と豪語する漁師さんもいます。それだけ強力な餌でもあります。

で、面白いのは、誰かが活きたヤリイカを使っていると、それが刺激になって死にヤリイカにも食うようになることです。つまり、全員が冷凍のヤリイカを使ってるとあまり釣れないけど、一人が活きヤリを使えば、他の冷凍イカにも食ってくるということです。これ、複数の船長から同じ話を聞きました。

さて、前置きはこんくらいにして、当日の模様を。


まずはイカ釣りだー

お世話になってのは網代のつちそう丸。船長の顔は怖い^^;けど、根は親切な人です。昔からお世話になっている船宿です。つり丸に情報を載せてくれないのが玉にキズ^^;。11/23は三連休の初日、紅葉客で湘南から箱根の道路は大混雑。10:30に横浜をでて、15:00に網代着。仲間も続々と到着したけど、遅刻して乗り遅れた人もいました。この釣りではまず渋滞に一番気をつけて欲しいです。結局7人で16:00に出船。まずはイカ釣りで川奈沖へ。水深は70mくらい。まわりには夜イカ乗合の船も多いです。

ヤリが小さいので乗りをとったり、誘いを入れたりは昼のイカ釣りと一緒。このイカ釣りをなめたらいけません。一杯が一本に相当する貴重なイカです、餌釣りを侮るなかれ。

3時間ほど釣って、各自2-7杯のヤリイカをキープ。足りない分は冷凍イカが配られます。そして9時、いよいよブリポイントの初島へ移動。

いきなりズコーン!これがイカブリの魅力

棚は底から8mの指示。ハリスが4.5mなんで底からけっこう高い位置に餌が泳いでいるという感じです。「魚待ってるから気をつけなよー!」と船長はいつになく気合が入ってる。なんか反応がかなり良いみたい。しかし、なにに気をつければいいんかみなわかってるかな?^^;とにかく竿先に注目。仕掛けを入れて数分、トモの竿がすこーんと入りました。目をやると竿がひん曲がってます。いいなー、と思うまもなくハリス切れ^^;。なんだなんだと聞いてみるとハリス20号が切られたみたいです。サメだろ?いや、ヒラマサかも?とああでもないこうでもないと話しているとき、反対舷の竿が入りました。上がってきたのはワラサ、いーじゃんいーじゃん!

船がポイントを外れると潮まわり。そのたびに仲間の竿もずこずこ入ります。8kg級のブリまで顔をみせちゃった、ええなー!あ、また入ってる、ええなー!、と見とれているうちに、なんと私以外の全員が釣ってしまった、やべー!^^;;;;;;;

ひさびさのイカワラサ、引っぱりっこはダイレクト

ちょっと焦ってきましたが、まだ時間も餌もたっぷりあります(イカは私が一番釣った^^;)。ちょっと気分転換とタバコに火を付けると、竿がズコッ!と入りました。きたきたきた(^^)。立ち上がって竿先が引き込まれるのを待つと船長から「慌てんなよー!」のアナウンス。はいはい、わかってまっせー。竿先がバタバタとした後にグッサーと突き刺さります。そーれ、いまだー!と竿をとって大合わせ。のったー!(^^)。

引きからするとワラサ。ハリスは12号なのでがんがん巻けます。クッションがないのでワラサの引きはダイレクト。6LBのワンピースロッドが飴のようにひん曲がってますが、力負けはしていない。ぐんぐん引っ張るワラサともろに引っぱりっこ、あー楽しい(^^)。引きを満喫してタモに収まったのは5kgのワラサでした。

短時間で決着、これがイカブリの威力

その後もコンスタントに竿が入ります。ちょとよそ見してだべってると「ほら、入ってるぞー!」と仲間の竿。じゃあ、タモ取りしてやっか、とワラサをすくうと船長が飛んできて「俺やるから戻れ!竿入ってるから!」。ふと見ると私の竿がズコーン^^;。いやぁ、こういう日は苦労なく釣れるもんだ。

私の3本目は一番強い引き。強めに締めたドラグから糸がズルズル引き出されます。うふふふ、こりゃブリに違いない。バラすと恥ずかしいから黙って上げよう^^;。なんてことを考えながら上げてきて仲間にタモ取り依頼「こりゃね、きっとブリだからね。慎重にすくわなあかんよ」。タモを抱えた人は、「これがブリかぁ?」「なぬ、引きはワラサとぜんぜんちゃうぞ」「針が背に掛かってるんだけど(大笑)」「……」。なんと、孫針が口、親針が背に引っかかりスレ状態。これじゃ引くわなー....これでワラサ3本目。

もうワラサは十分、あとはブリが欲しい。ヒラマサでもカンパチでもモロコでもいいぞ、という図々しい考えが天に通じたか、その後は私の竿にはワラサはきてくれませんでした^^;。棚をけっこう高めにとったせいか?^^;;;;まあでも、もう十分な釣果です。

2時間弱のフィーバーで、船中釣果は20本以上、ブリも混じったし、言うことなしの日でした。最初に20号ハリスを切られた人は、協議の結果、古い仕掛けを使っていたので傷があったのだろうということで落ち着きました^^;。

23:30に帰港。帰りは渋滞なしのらくらくで、25:00に釣り仲間の家へワラサを届けて帰宅。餌の残りのヤリイカも旨いし、ワラサはたっぷりと食えるし、イカブリがヒットしたときの見本の日でした。これが毎年楽しめればいいのだけどなぁ....とりあえず来年からもまた通い続けます。

2001.11.25 Yasuhiro Ii

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