史上初のクロアナゴ乗合、野毛屋で開始

またもやってくれました^^;

 金沢八景、野毛屋の黒川勇治船長は、私の知る限りもっともエポックな船長です。一世を風靡して各地に広がったウィリー釣法をはじめ、東京湾でのアオリ乗合、泳がせ乗合、さらにはエビタイ乗合など、とにかく人がやってない釣りに果敢にチャレンジするスピリットの持ち主。感心するのはその柔軟性で、新しいことだけにこだわるのではなく、古くからの釣りでもモダンにアレンジするので、新しい釣りでも単なるイロモノにならずにしっかりと楽しい釣りをさせてくれます。

 さて、そんな勇治船長が今回目をつけたのがクロアナゴ。あまり馴染みのない魚なんだけど、この釣り自体はかなり昔から知られているものです。ただ、乗合で出すほどではなく、一部の限られた人が仕立で狙うというものでした。というのは、食べるのが大変(小骨が多い)のと、ポイントを知っている人が少ない、という釣りのためです。私の知っている限りでも、この釣りを受けてくれる船は三浦で一軒だけでした。そんな釣りを、乗合で始めたわけです。ちょっと興味があったので初日にいってみました。

  仕掛けの紹介

 オモリは50号を使います。水深は30mたらずなので「そんな重いの使うん?」と聞いたら、潮が速いときがあって軽いとオモリが飛んでしまうそうです。この釣りはアンカーを入れてのカカリ釣り、このためちょっと重めのオモリになります。オモリはダブルスナップを使って、親子サルカンに直結します。底は泥で、根ガカリはないので、1個あれば足りるでしょう。

 ハリスは太ければなんでもいいですが、船宿仕掛けはナイロンの20号、私はアコウ釣りの幹糸に使っている22号を持っていきました。ハリスの長さは30cmと短い(マアナゴに比べれば長いか^^;)です。これを、親子サルカンに結びます。先糸はつけてもつけなくておいいけど、私は22号を1mほど付けました。これにマアナゴに使っているケミホタル(つけなくても可)を装着。

 針はタチウオ針を使います。ペンチでカエシを潰しておくのがポイント。こうしないと針がなかなかはずれません。

 さて、竿とリールですが、竿はウィリーシャクリに使う30号負荷2.1mのが流用できます。私はPoint&Pegオリジナルのエアステック軟調2.1mを持っていきました。ソリッドブランクなので、多少無理しても折れないです。リールはなんでもいいんですが、トルクを重視して、シマノの小船C1000、PE3号が100m巻いてあります。竿もリールもなんでもいいですが、カワハギ竿のような先調子の竿だと折られることあると思うので、要注意。

写真: 5.2kgのクロアナゴ。この日は7本釣って、最後に釣った1本のみを持ち帰る。

釣り方はアナゴに似てる、しかし引きは強烈

 ポイントは本牧沖。アンカーを入れてのカカリ釣りになります。夜行性の魚なので、日が落ちる頃に釣り開始。餌はサバ身、イカ、イカワタが配られます。他にはショウサイフグの肝^^;なんかも用意されてました。どの餌でも釣れました、餌はなんでも関係なさそう、とにかくクロアナゴは貪欲です。

 オモリを底につけて船の揺れでトントンするようにします。置き竿でも手持ちでもどちらでもOK。マアナゴのようにコツコツと小突く必要はありません(試しに小突いてみたら、それでも釣れましたが^^)。

 アタリは小さく、しかし明確にコツコツとでます。餌を飲み込むのが遅い魚なので早合わせはダメ。ゆっくりと聞き上げて、ギュンと引っ張ったとこで合わせてやります。竿入れ早々にアタリはあったんですが、私は2回連続ですっぽ抜けしてしまい、常連さんに「つりまるー、あにやってんだー(笑)」と冷やかされました。これは早合わせが原因、食いが浅いようだったら、ちょっと送り込んでやると効果的です。

 さて、三回目のアタリで、十分に食い込ませて合わせました。竿が根ガカリしたみたいにぎゅーんと曲がる。 リールを巻くとズドンと竿先が持ってかれました。竿を脇に抱えてたんだけど、とてもこれじゃ対応できない。 竿尻を腹に当てて青物スタイルのファイト体勢で対応しました。 小柴沖で腹当てファイトをすることがあるとは思わなかった^^;。

  とにかく引きが強い、竿がひん曲がります。ソリッドの強度とハリス22号を頼りに魚とひっぱりっこ。 ああ、楽しい…(^^)。途中、タチウオのように上に泳いだりしてドキリとさせてくれます。 海面に上がってきたのは、青白くて長い影、3kgくらいのクロアナゴでした。 黒川俊之船長がやってきて取り込みをアシストしてくれました。 持って帰る人はキープすればいいし、リリースするのも自由、写真とって欲しい人はとってくれます (意外にサービスに気を使ってます^^;)。

  その後も、アタリは頻繁にきて、楽しめました。中には針を伸ばしたり、ハリスを切ったりするのもいます。 大きいのは9kgが上がってますが、10kgオーバーもいるとのこと。結局この日は12人で72本の釣果で、みなはんお疲れ&興奮気味^^;

 写真:小4の娘だとここまで持つのが限界。娘の太ももとアナゴの太さがほぼ同じ?

 

料理にはちょっと苦労します、1本あれば十分な量

 こんだけ面白い釣りをさせてくれたんで、一本は食べないと失礼^^;と思い持ち帰りました。まずは塩で揉んでぬめりを取ります。けっこうなぬめりがあって、ぬめり自体に臭みをもっているので、これはちゃんとした方が良いでしょう。

 普通のマアナゴなら目打ちをしてちゃっちゃと捌けるんですが、このサイズだと目打ちしたところでまないたからはみ出してしまいます^^;。なので、新聞紙を敷いて滑らないようにしてから、背中から刃を入れて内臓をとり開きます。ちなみに胃袋もでかい、中にはフッコらしき魚が入っていました。

 開いたらあとは適当な大きさにカットして料理すればいいです。

 

写真:開き方はマアナゴと一緒。違うのは大きさ。


 

淡白であっさりした身はなかなか美味、しかし、小骨が多いのが難点

 釣り仲間から聞いていたのは、「脂ぎとぎとで小骨だらけ」という話。しかし、脂が乗るのは梅雨以降で、今の時期のクロアナゴはさっぱりとした身でなかなかいけます。小骨が多いのには閉口しました^^;。蒲焼にしたところ、身が硬くて小骨が多くていまいち。しからば空揚げがどうだってんで作ってみたら、これがベリーグッド。小骨はありますが、そう気にならない、中国料理であるヘビの空揚げみたいな感じでした。でも、ヘビよりもクロアナゴの方が旨いです。

 野毛屋の女将さんに聞いたところでは、いったん蒸してやるといいそうです。蒸すことにより、身が縮んで小骨が浮き上がります。これを毛抜きで一本一本引き抜くそうです。

 基本的にキャッチ&リリースの釣りで、食べるにしても一本あれば十分。アタリから食い込ませるにもちょっとだけテクニックが必要。なによりも、八景から15分の距離で5kgオーバーの魚とひっぱりっこの強烈ファイトが楽しめるのがこの釣りの一番の魅力だと思います。そう毎週毎週いく気には正直なところなれないけれど^^;、まず一度、この濃い(?)釣りを楽しんでみてはいかがでしょうか? わたしは、次は子供を連れてってみたいと思いました^^;。

2003/03/21 Yasurhito Ii

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