御蔵島 12.5kgのオオカミゲット  2006/2/19 清水 公翔丸

   釣りの手を休めて竿をキーパーに置いた時、この魚のアタリがきました。最初は小さく、しかしキーパーから竿を外した直後、猛烈な勢いでこの魚は疾走しました。

 とても止められない、これまでに経験したことのない強烈な引き。巻いてはまた引き出しての繰り返しの末、この魚は力尽きて徐々に上がってきました。

 水面に浮上したのは12.5kgのシマアジ。ツリオヤジの間では、オオカミと呼ばれる大物です。

 

 御蔵島に行こう、と思ったのは実はシマアジではなくてオナガが好調だったのが理由です。今年はオナガが良いよ、というのは船長の話。公翔丸では前半シマアジ、後半オナガの豪華リレーで出船していました。シマアジはオオカミクラスになると滅多に上がるものではないです。釣り友を3人誘って予約を入れたのも、みな期待はオナガにありました。

 

 2/19は冬型の気圧配置は崩れて高気圧に覆われて良い凪。清水港から約5時間かけて御蔵島に到着。

 ロッドはAplha Tackle Strega 231 、いっけん華奢に見えるけど、ULDPブランクのポテンシャルはこれまでメダイやワラサで体験済。シマアジでもオナガでも大丈夫、

 リールはSHIMANO電動丸3000XH。シマアジ専門狙いなら手巻きでやるんだけど、オナガでは最深で180mおろすとの事だったので、これを選びました。まあ、オオカミはたぶんこないだろう、という甘い読みもありましたが^^;。

 さて、そんなこんなで仕掛けをセットしてまずはシマアジ狙い。ビシは100号のステン缶。テンビンと道糸の間に3mmΦ1mのクッション、テンビンと仕掛の間には、3mmΦ30cmのクッション。ハリス10号、ウィリースキンの4本針です。水深は77mからの駆け上がり。徐々に深くなっていきます。

 一投めからアタリ。しかし引きはないです。船長が操舵室から顔を出し「食ったか?」と聞いてきます。「うん、なんかイサキみたいだ」と答えると、「ここはイサキはいないな、アオダイだろう」。その言葉通り、アオダイが一荷で上がってきました。美味しいお土産確保(^^)。

 私は左舷に5人並んだ前から2番目の席。ちょうど反対側で竿がよいしなりで曲がっています。上がってきたのは大型のメダイでした。これは楽しそう。

 しばらくして、私の竿に良いアタリ。一気に走られて、魚が止まりません。底に戻ったところでファイト開始、と思ったら根ガカリ、あらら…。

 4本針で、魚が食ってない針が根に掛かってしまったようです。ゴンゴンと魚の抵抗はあるんだけど、仕掛はぴくりとも動かない。「シマアジは根の際を這うように泳いで逃げる!」とは神津島の船長の言葉。

 これはどうしようもないです。仕方なくドラグロックで糸を引っ張ると、道糸の結び目からプッツン。仕掛一式がロストしてしまいました。 あの引きの強烈さと底への戻り方から、きっとシマアジだったでしょう、とほほ…。

 普通ならこれで魚運が尽きてしまうところなんですが、この日はなぜかツイていました。

 船の上で仕掛作成。クッションはテンビンの先のみに3mmΦ1mを付けて、そこからナイロン10号3mの1本針仕掛を作成。針はマダイ13号。特船オキアミを刺して投入。

 底から8mの棚を切ったところで、疲れたので一休み。すると、すぐにアタリが。そこで冒頭のシーンに移行しました。

 とにかく引きが強烈、針は1本だけど、根ズレするのが嫌なので底には戻したくない。ドラグをきつく締めても糸は出される。指でスプールを押さえて止めようとするも走りは収まらない。Stregaは満月以上にしなって魚の疾走を止めようとしてくれるんだけど、ハリス10号で止められる相手ではないです。ここは仕方ない、底まで戻ってもらいました。後は常に魚にプレッシャーを与え続けて、少しでも浮かせるようにしました。

 こういう時に大事なのは竿を立てること。穂先は真下に引き込まれて、「つの字」になる状態にすることが、魚へプレッシャーを与えることになります。さすがにStregaはエイテックのフラグシップモデルだけあって、ハリス10号ほぼ極限状態のテンションで、じわじわと魚を浮かしてくれます。これはブランクの持つ復元力の成せる技でしょう。魚のひとしきりの疾走が終わると、私の方にも余裕がでてきました。ヤマは越えた、あとは無理しなければ捕れる、と確信。

 しかし、引きが重い、竿は曲がりっぱなしで、はたからみると根ガカリのように見えると思います。しかし、魚の手ごたえは十分、竿のしなりもわずかずつ戻り、徐々にリールを巻くこともできるようになりました。

 掛けてから5分か10分か、正確な時間はわからないです。底から10m、いや20mくらいか浮かせたとき、魚は急に抵抗をやめました。残ったのは重みだけ。オオカミを釣ったことはないので、こんなに極端に力尽きるものなのかはわからない、もしかしたらこいつマダイじゃないか?ここからビシを手にするまでの時間、頭の中は不安だらけ。

 ハリスを手繰り、海中に揺れる真っ白な影を見たときは、そいつが何かわからなかったです。しかし、海面に浮いた姿をみたとき、テンションは一気に上がりまいた。シマアジ、それもでかいっ。

 船に横たわった魚を眺めているうちに、嬉しさがじわじわとこみ上げてきました。釣りは何十年やっていても新鮮な感動に出会えるなとつくづく思います。

 針は上顎の良いところに掛かっています。やりとりの途中にオマツリモなかったし、ここらへんはツキが味方してくれたでしょう。

 50Lクーラーではとても入らないので、同船者のクーラーを拝借して魚を氷漬けに。

 この後、本命のオナガ狙いが控えていたのだけど、この時点で今日の釣りは終わりました。^^;;。

 

 その後、しばらくシマアジ狙いをするんだけど、バラシが1回で終了。けっきょくシマアジはこの1本のみ。

 次いでオナガ狙い。サンマ餌で120-160mの水深を狙ったけど、潮がよれよれで釣りになりません。アタリがあっても途中でいなくなってしまう。浅場に戻って、お土産にアオダイ、ヒメダイ、マダイ、アカイサキが船でぽつぽつと上がって、私にとってもメモリアルな釣行は終了となりました。
下は船宿のHPから、船長のコメントです。

2月19日、御蔵島沖オオカミ12,5`出ました!他に2回バラシあり!、メダイ11`、マダイ4,0`、他に青鯛、姫鯛少々でした。オナガダイの反応あるも速い潮が入り、オナガの当りはあったものの3回流して諦めました。反応見るとこれからも有望です。
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