ムギイカ電動直結釣法のページ

今年はムギイカが各地で好調です。
東京湾口久里浜沖、剣崎沖、城ヶ島沖、長井沖、瀬ノ海、初島沖などなどポイントも多数に渡り、どの釣り場でも束釣りを達成するような勢い!ムギイカにチャレンジするなら今ですよ、奥さん!!^^;
ということで、ここではムギイカ仕掛けについて電動直結釣法を中心に紹介してみます。


ムギイカの仕掛けはおおまかにわけて2種類

ブランコ仕掛けと呼ばれる幹糸から枝素を出してツノを結んだものと、直結仕掛けと呼ばれるカンナ(針)と幹糸を直接結んだものがあります。さらに直結仕掛けには、プラヅノを使う場合と、ガス糸巻きの鉛ヅノを使用する場合があります。鉛ヅノの仕掛けの解説は手釣りで使われるため、ここでは解説を省略します。

いずれの仕掛けも、昔からあるものです。意外と知られていないのが、直結仕掛けが昔から使われていること。この仕掛けはブランコ仕掛け全盛時代にも一部の釣り人の間では愛用されていました。私が最初にこれを目にしたのは10年以上前のことです。ムギイカに限らず、ヤリイカ釣りでも使われていて、サバ避けに大きな効果を発揮していました。しかし、これを使うのは一部の人であり、ほとんどの人は竿釣りではブランコ仕掛けを使っていました。

新たな釣法 - 電動直結

それまでどちらかと言えばマイナーなプラヅノ直結仕掛けに新たな息吹を与えたのが電動リールです。直結仕掛けと電動リールの組み合わせで、新しい釣りが生まれました。この釣りが現われたのは、私の知る限りでは5,6年前、長井の船の常連さん達が始めたのが最初だと思います。当時はツノ数も手釣り並みに多くする場合もあり、仕掛けの扱いにも技術が必要でした。「電動ウィンチ釣法」という名前で呼ばれたりもしていました。

年を経るにつれ、電動直結の釣り方もモデファイされ、仕掛けも市販されるようになりました。各社から6〜8本ヅノの電動直結仕掛けが発売されています。この仕掛けのスタイルが初心者でも扱いやすく、現在のスタンダードと呼べるかもしれません。

以降では、竿釣りに的を絞り、電動直結とブランコ仕掛けの特性の違いを書いてみます。

ブランコ仕掛けの悩み - 濃い群れのときは仕掛けが落ちない

ムギイカを大釣りするときは、群れが濃く、落とし込みの途中でイカが乗ってきます。それも仕掛けが棚に入ったとたんに乗ってきます。つまり、下のツノから乗ってくるわけです。そのまま仕掛けが落ちて、上のツノに乗せられれば多点掛けになり釣果は伸びるのですが、最初に乗ったイカが仕掛けの落下を止めてしまうのです。そうすると一回の投入でよくて2,3杯掛けとなります。

直結仕掛けだとどうなるか?仕掛けの落下が邪魔されません。これはツノに対して針の向きと逆方向に力が働くため、落とし込みでは針に乗らないからです。イカを乗せる楽しみを数秒我慢して、群れの下に仕掛けを入れることが可能になります。これが直結仕掛けの大きなメリットです。

直結仕掛け - 上ヅノから乗せて多点掛け、棚の探知がポイント

イカの棚の下から仕掛けが入ると、上のツノから乗ってきます。乗ったあとはリールを巻きながら上への誘い上げになるため、順に下のツノに乗ってきます。イカの群れに、すべてのツノを通過させることができるわけです。これは多点掛けのための条件でもあります。

では、群れの棚を捕まえるにはどうするか?ブランコ仕掛けだと仕掛けが止められますが直結仕掛けだと止められません。直結仕掛けの場合は、落とし込みでイカがツノに触ったシグナルがでます。それまでスーッと落ちていた糸に変化が現われます、落下が若干遅くなったり、落下速度が不規則な変化をしたりするのがそれです。このシグナルを見つけてから、さらに5〜10mほど仕掛けを沈めます。そして、シャクリに入ることにより、上のツノがイカの棚にあった位置からの誘い開始になるわけです。

まだある、直結仕掛けのメリット

直結仕掛けの一番のメリットは、「棚の下に仕掛けが入るため多点掛けが可能」です。この他のメリットもあります。1つは、サバに強いということ。サバが多い日はブランコ仕掛けだとサバがツノを飲み込んでしまい、一回の投入チャンスを無駄にするのと、飲みこまれたツノを外すのが難儀で手返しが遅くなります。直結仕掛けはサバに飲み込まれず、針にサバが引っかかっても振れば外れるため、サバの多い日には強いといえます。もう1つはオマツリが解きやすいこと。枝素がないシンプルな仕掛けのため、絡んだ仕掛けを解きやすいわけです。

いいことずくめではない、直結仕掛け

でば直結仕掛けが万能か?といえばそうではないのです。一番の弱点は「イカが外れやすいこと」。
直結仕掛けは仕掛けに与える力が直接ツノの動きに伝わります。いわゆり「遊びがない」状態です。ちょっとでも糸を緩め、オモリが下がる動きを与えるといとも簡単にイカがばれてしまいます。これは、取り込みの難しさにもつながります。せっかくイカを多点掛けしても、取り込みで手が滑ったりして糸が緩んでしまうと、ポロポロとイカが逃げていきます。取り込みには、糸の引きを止めない、速やかな動作が要求されるのです。これは波が高いときにはさらに困難になります。上下する船上で、仕掛けを緩めないように取り込むのには慣れが必要です。

もうひとつの欠点は、ツノの踊りが少ないこと。ブランコ仕掛けはシャクリ動作の止めにより、ツノに自然にアクションが加わります。しかし、直結仕掛けは意図的にアクションを与えてやる必要があります。群れが濃くてイカがバリバリ乗ってくる状況では誘いの有無は問題になりませんが、拾い釣りの場合はアクションの有無が乗りに影響します。この欠点の解消するのが、電動リールでした。

電動直結釣法 - ハードな釣りがライトに変化

電動直結釣法は、巻き上げる動作を電動リール任せにして、釣り人は竿の動きだけでアクションを与える方法です。これにより、初心者でも容易な釣法となったわけです。電動を中速に入れ、釣り人は竿先に小刻みな動きを与えます。ルアーで言えばトウィッチング。大きなシャクリは必要ないです、竿先を揺らす、という感覚になります。上への動きは電動リール任せ、不規則な動きを与えるのが釣り人、という役割分担なのです。直結仕掛けと電動リールの組み合わせで、女性でもムギイカ釣りが楽になりました。これまでは高い技術を要する手釣り、あるいはハードなしゃくりが要求されるブランコ仕掛けの竿釣りと、技術や体力が必要とされた釣りに対するひとつの解が電動直結釣法といえるでしょう。

使い分けよう、2つの仕掛け

いついかなる場合でも直結仕掛けが有利ではないというのは、前に述べた通りです。状況に応じて使い分けることが好釣へのポイントだと思います。どの条件でどちらを使うかの判断は釣り人によって違いますが、これまでに書いた特徴を下の表にまとめてみますでの、これを参考にしてどちらを使うか選択してください。

  直結仕掛け ブランコ仕掛け
多点掛け ×
ばらしにくさ ×
扱いやすさ
サバ避け ×
誘いやすさ
電動シャクリとの相性
オマツリの解消性 ×
ツノの交換しやすさ ×

蛇足ですが、投入器のセットの方法はブランコ仕掛けと直結仕掛けとでは逆になります。ブランコ仕掛けはカンナを下に向けてセットするのに対し、直結仕掛けではカンナを上に向けてセットします。

その他、細かく気を遣う点もいくつかありますが、まずは両方の仕掛けを体験して特性の違いを理解するのが上達の早道かと思います。

それと、最近では電動リールの普及により、イカ釣り初めての人も電動リールを使うことがほとんどのようです。しかし、イカ釣りの上達に必要なエッセンスは、手巻きリールでの釣りの中に含まれます。波にあった巻上げ、竿のしゃくりによる誘い、追い乗りさせるためのスピード、これらの方法を会得するには、手巻きリールでの実釣を経験するのが一番だと私は考えています。ムギイカは棚も浅く、手巻きでの釣りもそう苦にならない釣りです。手巻きのイカ釣り未経験の人は、一度やってみるのも経験値を上げる手段であるということを付記しておきます。

 

2001/5/31 Yasuhiri Ii

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