石花海のオニカサゴはでかかった

 大物釣り師と呼ばれる人達は、1cmでも100gでも、より大きい魚にコダワりますが、私はそれよりも食べ頃サイズにコダワりたい、というのを前に書きました。(ここ)  でも、大きければ大きいほど旨い!という魚もいます。そしてその魚が数少なく、なかなか釣れないとあっては、私も大物釣り師動揺に、大きさにコダワり、大きい魚を釣れば大喜びするときがあります。それらの魚は、根魚系が多いです、アカムツ、クロムツ、キンメ、アラなんかかな。で、今回は根魚系でファンの多い、オニカサゴを釣りにいってきました。

 オニカサゴ、以前は比較的簡単にキロオーバーが釣れました。しかし、成長の遅い魚ゆえ、釣れば釣るほど数は小さくなります。私がかつてキロオーバーを釣ったのは10年くらい前でしょうか、もう前のことで覚えていません^^;。500-800gクラスはかなり釣れるんだけど、キロオーバー、それも2kgに近い型は、 「幻の魚」の仲間入りしつつあると感じていました。

 さて、前置きはこれくらいにして、今回お邪魔したのは、土肥港の「とび島丸」。銭洲遠征船では名を馳せている船宿なんだけど、実は冬場のオニカサゴも看板のひとつ。これまで乗せてもらったことはないのだけど、前からいきたいと思っていた船宿さんです。オニカサゴが開幕したというので、つり丸の取材にかこつけて^^;伺いました。11月10日のことです。

 詳しい内容は、つり丸の2002年12月15日号をみていただくとして、当日はかなりの強風、しかも潮濁りの悪コンディションの中、乗船者全員が型をみるという快挙でした。

 左 の写真は私は1.7kgのオニ、これ、自己最高サイズです、素直に嬉しいです^^;。他に1.1kgも交じり、都合2尾の釣果。船の最大は1.9kgでした。

 オニカサゴって、普通のカサゴと違うのはその味覚。まず、熱に強いです、味が逃げない。なので鍋ネタにはうってつけ。完全に火が通ってもなお、濃い旨みが楽しめます。もうひとつはその食感、しっかりした繊維の身で、薄造りにしたときの歯応えは格別。特に皮ごと引いた薄みを出汁にくぐらせる「鬼しゃぶ」は、数ある魚しゃぶ料理の中でもトップクラスにランクされます。

 こんな美味しいオニカサゴなんだけど、悩みは歩留まりが悪いこと。身の割合が少ない魚なので、それほど多くの身がとれません。しかし、キロを越えれば話は別。たっぶりの白身で、いろんな料理が満喫できるのです。

あと、生命力が強いことも特徴、クーラーの氷の上に乗っけて、土肥から横浜までのロングドライブで持ち帰ってもまだ活きています。上の写真は毒鰭にびびりながらも活きているオニカサゴを娘に無理やり持たせて撮ったものです^^;;。

 活きた魚を捌くのは大変。身が死後硬直を起こしていないので、弾力のある身に包丁が挟みこまれます。切れのいい包丁がないとうまく捌けない、身を引くのにも、尺の柳刃をめいっぱい使わないとキビシイ。頭は硬いのでナシ割りはあきらめ、そのまま鍋に入れて煮ます。

 美味しい魚なんだけど、毎週毎週釣りにいきたいとはあまり思いません。もし、毎回こんな良型が釣れるとしても、過去に魚が細かくなった釣場の経緯を考えれば、この満足感は10年くらい持つんじゃないかなと思います。でも、まだ大鬼の魅力を味わっていない人には、土肥出船のとび島丸は期待十分の船宿としてオススメできます。なお、25cm以下はみなさん放流していました。水圧変化に強い魚ゆえ、放流効果は高いです。今後も大鬼を楽しみ続けていくためにも、小型の放流には協力しましょう。

右の写真は胸鰭を干したもの。これを炙って熱燗に入れる「鬼の鰭酒」は左党にはたまらない一杯になります。

2002.12.23 Yaruhiro Ii

Topへ

 

inserted by FC2 system