Viva! Saba!

みなはん、サバはお好き?わたしは好きです。というか、思い入れがあるというか、コダワリがあるというか…

アジやタイ釣りで嫌というほど釣れて、釣ったそばからぽいぽいと海に返されるサバもいれば、大事に大事に血抜きしてクーラーに仕舞いこまれるサバもいます。サバの価値ってなんでこうも違うのか?それはもちろん味の違いのせいです。同じ魚とは言えないほど、うまいまずいがはっきりしてるのがサバの特徴でもあります。ここでは、サバについてのお話をあれこれと。

左の写真は46cmの大サバ、走水沖のアジ場で釣ったものです。時期は11月、包丁を入れると身は真っ白、ぶっとい腹の中にはラードがびっしりという極上のマサバです。このサイズになると、加熱調理でこそ差がでます。味噌煮にすれば、身はしっとりと甘く、青物特有の酸味は皆無、舌の上で身がとろけるよう(^^)。でも、こういうサバが釣れるのは滅多にないです。


あたいの沖釣り初体験はサバ釣り

今でこそ純正沖釣りオヤジの風貌のわたしなんですが、それでもいちおう紅顔の少年時代があったわけです。ガキの頃は金ないんで船には乗れず、いや乗ろうなんて気はおきなかった、もっと正確にいえば船で釣りができるのは大人になってからという小学校5年生の頃、子供会の行事で「船釣り」なんてのがあったんです。それまでも馬入川でボートでハゼ釣ったりはあったんだけど、本格的(?)な沖釣りはその年が初めてだったような覚えがあります。

江ノ島、たぶん片瀬川からだったと思うけど、木の船で子供が10人くらい、それに付き添いの大人が乗って沖にでました。道具といえば竿もリールもなく、手釣り用の渋糸とコマセカゴ、それに今まで使ったことのないような太いハリス(たぶん8号くらい)、ネムリ針が2本付いた仕掛けでした。船長さんが手で長さを計って糸を出してくれて、コマセ(イワシのミンチだったかアミかは記憶になし)を詰めて棚まで下ろすだけ。餌はなんとゴム風船の切れ端。赤や黄色のゴムを1cm角に切ってやってそれを針にちょん掛けするというのにはびっくりしました。

で、棚まで下ろして糸を手にもったまま待つと、ギューンッ!とひったくるような引きがきます。夢中で手繰ると40cmはあろうかというサバが一荷で釣れてくるわけです。これは面白かった、そして気持ちよかった。ダイレクトに手に伝わる魚の引きがこんなに楽しいのかと思いました。

今思うと、恐ろしいことにこの体験が現在の釣りの指向になってるのかもしれません。マダイの立て釣り、ビシマ釣り、アジの手ビシ、マダコなどなど、手釣り大好きオヤジになったのは、少年時代の体験のせいかなとも思いますね。

船酔いを初めてしたのもこの時でした。沖にでて1時間くらいしたら、なんか気持ち悪くなってきた。船酔いだろうというんであおむけになって空をみつめていると、だんだん気持ち悪いのが収まってきたのがはっきり覚えています。小1時間ほど休息したでしょうか、その後はまた夢中に魚を釣ってたような気がします。

その時釣ったサバは子供会の役員の人がすぐに三枚におろし、べた塩にしてビニール袋に入れて持ち帰りました。それを親に渡して料理してもらった〆サバや塩焼きがやたらにうまかった覚えがあります。

かくして、サバ釣りの楽しさは少年時代の良き思い出として心に深く刻みこまれたのです、ちゃんちゃん。

うまいサバ、まずいサバ

社会人になって、てめえの金が自由に使えるようになってから本格的に沖釣りを始めると、サバが釣れるわ釣れるわ。タイ狙ってもアジ狙ってもサバが釣れる釣れる。新鮮なサバはうまいだろってんで、片っ端から持ち帰って食べましたが、これが実に味に差があるわけです。包丁を入れると白い身なのはアタリ、味噌煮にするととろーりととろける舌触り、しめ鯖にするとじんわりの青魚の旨味と脂が口の中に広がるサバです。赤い身なのはたいていハズレ、脂がなくてぱさぱさしてて、しめ鯖にしても酢の味だけが浮き立つようなサバです。

釣れる時期、場所、水深、などのパラメータによって味がガラリと変わってきます。三浦半島では、冬場のアマダイで交じるサバ、松輪瀬で秋のタイ釣りに交じるサバ、第2海堡まわりの浅場で冬に釣れるサバ、江ノ島沖の冬のタイ釣りで交じるサバ(ヒラサバ)などが、アタリのサバでした。ムツ釣りやイカ釣りで交じる深場のサバや、夏にタイ釣りで釣れる小さいサバはいまいち、だんだんそういうあたりはずれがわかってきたけど、外見から見分けることはまだできないです。とりあえずは食べて確かめるのが一番確実な方法。

関サバにはびっくらこいた

関サバについてはけっこう前から聞いていたんですが、実際に食べてみるまでは「三浦のサバのうまいのとたいして変わらんだろう」と思ってました。FMLというメーリングリストがあるんですが、そこのメンバである漁師ぼぶが釣ってきた関サバをもらってびっくり!別の魚かと思いました。サバでありながら身が締まり、抜群のテクスチャです。カンパチの刺身を上品にしたような感じ。これにはカルチャーショックを受けたです。「大分にはこんなサバがいるんか....」。

その翌年、FMLのメンバと一緒に九州にお邪魔して関サバを釣らせてもらいました。40cmの丸まる太ったサバが大漁。沖から上がり、急いで飛行機に乗って家に戻りました。死後硬直状態の関サバを刺身にして一杯、その味はまさに絶品です。私は釣りに交通費を使うのはあまし好きではないんですが、この関サバだけは飛行機に乗ってでも釣りいく価値あると思ってます。

サバを刺身にしないわけ

関サバは刺身にしますが、これは締まった身質のため例外と思った方がいいです。普通のサバは刺身にすると、いくら新鮮なものでも歯応えに不満が残ります。これを解消したのがしめ鯖、昔の人は偉いです。三枚におろした身に、塩をもういやってほど振りかけ(べた塩)、水分を抜きます。これを酢につけてしばし置く、外側がほんのりと白くなっただけで充分です。中まで真っ白に色が変わるまで待つ必要はありません。薄皮を剥ぐのにちょっと苦労するくらいの酢加減で引いたしめ鯖はその歯応えよく、とても美味しい造りになります。

サバの生き腐れ

サバを食べると蕁麻疹がでた、という話をたまに聞きます。これは鮮度が落ちたものを食べた場合に起こるものですが、サバの場合はアレルギーを起こしやすいという理由があります。アレルギーの原因になるのは、ヒスタミンという物質ですが、ヒスタミンはヒスチジンが分解されることにより生成されます。サバにはヒスチジンが多く含まれます。このヒスタミンの分解するのが、生臭くなるのよりも早いわけです。つまり、匂いが生臭くないので、鮮度は落ちてないだろう、と判断して食べると、身の中にあるヒスタミンによりアレルギーを起こすケースがあるわけです。生きたように思えてもアレルギーを起こすことから、サバの生き腐れと言われています。

まあ、私らツリオヤジは釣ったそばから水氷に漬けて(その際にエラを抜いて血と内臓を出せばベター)、まないたの上まで直行ですから、鮮度が落ちることはまずありませんので、心配は無用。あと、青魚に多い寄生虫のアニサキスですが、これも内臓にいるため、船の上で内臓をとってしまえばまず大丈夫、内臓をとらなくても水氷に漬ければアニサキスは活動停止しますので、家に帰ってすぐに捌けばこれまた心配無用です。

 これはゴマサバで49cm。ゴマサバは小型が多いんですが、このサイズになると内臓に脂が乗っていてシメサバ、竜田揚げにすると身に癖がまったくなく、超美味です。マサバと比べてやや身が柔らかめ。これは7月に初島沖で釣ったもの、冬が旬のマサバに対し、ゴマサバは夏が旬になります。

葉山沖の黄金のサバ

これ、なぜかよく聞かれるんですが、そんなもんいませんて^^;。漫画に載ってたそうですが、漫画の信憑性は星飛雄馬が大リーグボール投げるのと同じようなもんでしょう。

ノルウェーのサバ

時と場所によっては美味なサバですが、なかなか近海物は魚屋に並びません。いつの頃か登場したのがノルウェーサバ。これが脂の乗りがやたら多いですが、塩焼き、味噌煮にするとなかなかいけるです。マサバに比べて背中のまだら模様がくっきりとしているのが特徴です。うちでもボウズで食うもんないときは魚屋で買ったりします^^;;;;。

京都駅のサバ押し寿司

値段高いけれど、しっかり昆布で締めたサバが美味しいです。京都にいかれはったらぜひおたべやす。

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と、長くなっちゃいましたが、サバについての話はつきません(^^)。これから秋から冬にかけては美味しいサバが釣れる時期です。美味しいサバを楽しみましょう。

2001.8.16 Yasuhiro Ii

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