タルイカ釣りあれこれ

 10月20日、小浜までタルイカ(標準和名はソデイカ)釣りにいってきました。関東では滅多にお目にかかれないタルイカ ですが、日本海ではここんとこメジャー化しつつあります。実釣の模様は、急遽つり丸の釣行レポートにすることになったので、12/1号を読んでいただけるとありがたいですが、ここでは記事に書ききれなかったことをちょいと書いてみます。

 私がこの釣りを知ったのは、1991年発刊の大陸書房の「イカ釣り入門」。この本、今はつり丸編集部である丸岡文雄氏が編集人を務めた専門ムックで、イカ釣りを扱った本ではピカイチの出来だと今も思ってます。その本の中でタルイカ釣りが紹介されているんですね。衝撃的だったのはその大きさ、10kgオーバーのタルイカの写真はまさに迫力満点。当時は職漁中心で、トーシローが釣りするには漁船にくっついていって仕掛けを降ろすという方法しかなかったようです。

 職漁はタル流しという漁法で狙います。タルを浮き代わりにしてでっかいスッテをおろす、それをいくつも仕掛けておいて、朝になったら引き上げにいくという漁です。タルイカという名前も、このタル漁からきています。釣り人はどうやって釣るかというと、漁師がタルを上げるときに仕掛けを下ろすんです。タルイカはオスメスペアで行動していると言われ、一杯がタル仕掛けに掛かっているときに、片われはその近くにとどまっているようです。釣り人はその片われを狙って仕掛けを下ろすという釣りだったようです。

 数年前から、遊漁の対象としてタルイカが登場してきました。釣り場は若狭湾、能登、新潟あたりです。今回は若狭湾にいきました。

 タックルはワラサ用のが流用できます。120号オモリがしょえる胴調子の竿。微妙な乗りをとったり、シャクリを激しく入れるわけではないので、先調子よりも胴調子の方が良いです。リールは中型の両軸。電動リールを使う人が多いですが、棚が海面から40-100mと浅いので手巻きでも十分にいけます。私はABU社のAmbassadeur9000CLを使いました。

 仕掛けは大型片天秤に水中ランプをつけて、クッションゴムの3mmを1m、それにハリス20号を3mだします。タルイカ針と呼ばれるイカヅノに生エサのサンマやスルメイカを串刺しにします。ハリスが太いですが、これは扱いやすさをよくするという目的が大きく強度的には10号もあれば十分かと思います。ハリス切れるよりも、イカが身切れする方が先なので、あまり強度には神経質になる必要はありません。

 あと、特筆すべき点は、針にカエシがあるんですね。通常のイカヅノは例外なくカエシがありませんが、タルイカ針にはカエシがあります。手返しを犠牲にして掛けたら確実に取る、という目的が強いのかと思います。そもそも手返しを早くして数を稼ぐような釣りではないですから、カエシがあるのもうなづけるところかと思います。

 さて、釣りの方ですが、これはもう迫力ある、という点では青物なみです。竿が満月に絞られ、ぎゅんぎゅん引く光景が見られます。見られます、というのは、私にはでかいのこなかったせい^^;。3kg級でもけっこう引くのですが、10kg級のそれとは比べ物にならないです。まさにジェット噴射、突然にギュィーンと引き込まれ、ドラグからは糸ずるずる。見ていてうらやましかった。

 タルイカには足にヒレが付いてます。これは不気味、吸盤と並んで魚の背びれのようなひれが付いてるのはまるで怪獣をみているyとうです。あの足のヒレの使い方は謎ですが、ホバリング時の方向転換をスピーディにする効果があるのですかね?どなたか調査した方がいれば教えていただきたいものです。

 気になるお味の方ですが、ひとことで言えば「味気ない」。アオリやスミイカのように、イカ独自の甘みが強い身を食べなれているツリオヤジにとっては、つまらない味というのが正直なところです。で、皮にはちょっと癖があります、独特の臭みがあるので、ゲソの料理はいまいちです。職漁師が水揚げしているので、もちろん市場には流通しています。魚屋でタルイカのラベルが貼られて売られることはないのですが、私の予想では、回転寿司ででてくるでかいイカ握りがソデイカじゃないかなという気がします。

 まあ、この釣りは食味よりも釣り味優先の釣りといえるでしょう。イカを食べる目的であれば、タルイカより美味しいイカはたくさんいますから。

 関東でも釣れたら人気がでる釣りではないかと思います。ほとんど聞くことはないイカですが、三崎のイカ宿の外道に混じったことが書いてあったのを一度だけみたことありますし、御蔵島の泳がせ釣りで大型ソデイカが上がった記録もあるらしいので、関東近辺に回遊していないとは言えないようです。それをどう釣るか、というのは難しいですが、近い将来は関東でも釣りのターゲットになるかもしれません。

 今回の私の釣果は1.5〜3kgが3杯。次回はぜひとも10kgオーバー、いや、船宿記録の21kgを更新するような大型をゲットしたいものです。

2001/10/27 Yasuhiro Ii

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