健流ロッドのページ

フグ釣りに求められる要件をすべてクリアしたロッド、健流

 もともと日本で一番初めにフグ釣りの遊漁船を出したのは東京湾、今でこそショウサイフグ釣りは外房から茨城にかけて広まっているが、そのオリジナルは東京湾に在る。

 内湾の釣りは繊細なのが特徴、特に近年ではその繊細さが強調される傾向にある。それは釣り人の増加、魚の絶対数の減少、など釣り人にとってはプレッシャーの掛かる原因 による。ニッチな市場ゆえ、メジャーメーカーは東京湾フグの専用竿は作らなかった。東京湾フグ竿の製作にトライしたのは、エイテック、そして21世紀釣具店などの釣具屋オリジナルロッド、一部の船宿でも特注ロッドなど ごく少数であり、ダイワ、シマノの大手メーカーからはいまだに発売されていない。

  しかしながら、これまで市販されたどの竿をとっても野毛屋の黒川健太郎船長は納得できなかった。ショウサイフグロッを作る難しさは、以下の点にある。

 1. フグの繊細なアタリをキャッチ可能なこと
 2. 極めて小幅な動きをカットウに与える操作性を持つこと
 3. 初心者からベテランまでが使える汎用性を出すこと
 4. タフな使用に耐えうる頑丈さを出すこと

 これらの要件をすべて満たせる竿はこれまで無かったとも言える。健流ロッド(製品名:マニアスフグスペシャル)の特徴は上記の要件をすべてクリアしている点にある。
 健流ロッドを手にした釣り人は、ぜひ上記4点を意識して使ってみて欲しい。

秘密は8:2調子と急テーパー1ピースブランク

 健流ロッドを手にした時にまず感じるのはその軽さ。そして、穂先に触れると張り があることに気づくだろう。従来発売されていたフグ竿が穂先が極端に柔らかく、極端な先調子の竿が多かった。しかし、健流はそれらの竿に比べて、穂先に張りを持たせてあることがわかるだろう。

※穂先を細く削りだして極端な先調子の竿を作るのは、軽いカットウへの対応が目的のひとつ。カットウを海の中で安定させたまま、道糸を張った状態をキープし、さらにその状態からしゃくりを入れるには、穂先に相当の柔軟さが要求され る。そのためにベテランは穂先の細い竿を好んだ由縁でもある。

 しかし、穂先の細さは諸刃の剣。最大のリスクはその折れやすさにある。道糸を巻き過ぎ、仕掛を巻き込み、穂先にサルカンが当たるようなものなら簡単に 穂先が折れてしまうだろう。初心者がもっともよくやる穂先の破損がこの巻き過ぎのミスによる。

 8:2調子にしたのは穂先破損の対策が含まれる。もちろんリールのドラグを締めたまま思いっきり力を入れて巻き込めば破損はするだろう。しかし、多少ラフな操作は許容してくれる強さが売りでもあるのだ。

 丈夫さだけを求めて感度を落としたり、操作性をスポイルさせてしまうのであれば逆効果になる。健流ロッドでは丈夫さを保持したまま、感度と操作性を補う ための工夫を行っている。そのポイントは急テーパーなブランク にある。急テーパーなブランクは釣り人が与えるアクションを確実に仕掛に伝え、さらに仕掛から伝わるシグナルを手元に伝える。

 また、急テーパーゆえに、継ぎ目を作りにくいことになるが、そこはワンピース設計とすることで解決している。

つまり、

  8:2調子で張りのある穂先
  感度を高める急テーパーなブランク
  それらを実現するためのワンピース仕様

これらが連携した意図と目的を持っているのである。
ここまでを従来のロッドと比較してみて欲しい。
かつて、このようなロッドは存在しなかったことがわかると思う。
東京湾のショウサイフグのスペシャリスト、黒川健太郎船長が導き出したフグロッドの最適解であることが理解いただけるだろうか。

 健流ロッドで使うするカットウの重さは10号がベストマッチだ。10号のカットウは、潮が速くても対応は可能でもっとも汎用性の高い重さである。潮が緩い場合には8号まで軽くするのも良いだろう。また、12号以上の重さのカットウは東京湾のフグ釣りでは使う必要は無い。

※注 外房〜常磐のフグ釣りでは、25〜40号のカットウを使う場合があるが、 外房の釣りには健流ロッドは向いていない。また、東京湾でも冬場には25〜30号オモリを使った胴付き食わせ釣りになるが、この釣り方にも健流ロッドは向いていない。あくまでも、東京湾のカットウ釣りにオプティマイズされた竿であるという事を注意して欲しい。

健流ロッドの合わせはソフトに
 

 従来の穂先が極難のフグ竿やヘチ竿、あるいは7:3調子のキス竿を使ってカットウ釣りをやっていた人は、二段合わせの癖がついているかもしれない。つまり、フグがカットウに触った感触で、さらに追い合わせを行うことで確実な針ガカリを狙うのがその意図だ。 これは、前述したように、従来のフグ竿では穂先が極端に細いため、合わせがパワー不足になることだ。しかし、健流ロッドの場合はこの追い合わせは必要ない。

 しゃくった時に穂先がアタリを感じた瞬間にはすでに針が掛かっている。そのまま竿を立ててリーリングに入るだけでOK。

 モタレや微弱なアタリを感知したときにも、大あわせは必要ない。軽いソフトな合わせがもっとも針ガカリがよい。

 この掛かりの良さは8:2調子と穂先の張りの によるもの。つまり、カットウを掛けるために、穂先のバランスがちょうど良いとも言える。これも健流ロッドの特徴のひとつで、追い合わせは必要ないとい言える。

 オーバーアクションの合わせは、せっかく掛かっているフグを逃がすことにもつながる。 また、たとえ針がかりしなかった場合でも、ソフトな合わせをしていれば、そのまま竿先を戻してやれば良いというメリットを持つ。ソフトなアクションで竿先を戻してやれば、餌が残っている限りアタリは続くだろう。

健流ロッドの向こう側は?
黒川健太郎船長 2006/9/3 港にて撮影

 さて、このページを作成するにあたって、健太郎船長へのインタビューで、最後になってやっと噛み合ったことがあった。それは、このロッドの位置づけ。

 野毛屋のベテランの一人は「健流は初心者の竿」とも言っていた、また、誰にでも容易にフグが釣れることから、オートマチック車というメタファが使われたこともあった。もし、健流が中級者用ロッドであるならば、上級者用ロッドとはどういうものか?もし、健流がオートマなら、F1レーサーのフグロッドとはとういうものか?私はその答えが欲しかった。

 しかし、健太郎船長はけっしてこのロッドが初心者用とは思っていない。「初心者から使えるが、初心者用ではない」のである。オートマであるが、十分にサーキット走行が可能なロッドなのである。

 「初心者が健流でフグ釣りを覚えた、ある程度フグが釣れるようになった。では、次に必要なロッドは何なのか?」の私の質問に船長は、「そんなの要らないよ、このロッドで最後までいけるから」、きっぱりと言い切った。

 健太等船長は、このロッドで何度も試釣を行い、常連に負けない実績を上げている。操舵室から竿を出しながら(もちろん操船しながら)、竿頭になる離れ技も何度となく行っているのだ。
(初心者だけでなく)俺自身が釣るためにこのロッドを作った。このロッドは超上級者になっても使えるのさ」。

 そして、健太郎船長は、最後にこう言った。

 「 腕が上がったからと言って、竿を替える必要なんかないんだよ。
   他にやることはたくさんあるさ。
     
フグの活性による当日の必釣パターンを導き出すこと
     誘いによって、フグを自分のカットウの周りに集めること
     微妙なアタリをとって、その9割を針ガカリさせること

   ここまで出来るようになれば、どの船に乗っても竿頭が狙える。
   これらは、健流を使って技を磨けば、いつか必ずできるようになる!!  」

 

 

 

 

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