長竿釣法の付帯効果

  先のセクションで述べたとおり、長竿アオリ釣法は、(1)釣れる、(2)疲れない、(3)楽しい、の3 つのメリットを生み出します。しかし、効果はそれだけではないです。ここでは私の船アオリ釣りの経験から、長竿で有利になるべき点を抽出してみます。いくつか仮定の話も含みますので、あしからずご了承ください。

アオリにしっかり抱きつかせるための穂先の遊び

2本の触腕を持つのがイカ類の特徴。果たして水中では餌木にどう抱き付いているか?

  アオリが触腕一本で餌木に掛かって上がってくることはしばしばあります。釣り人はたいていこのような時に「イカの活性が低い」と言います。確かに、イカに元気がなくて、触腕だけで餌木に触ることもあるでしょう。しかし、アオリの活性が高ければいつでも餌木にがっちりと抱きつくとは限らないように私は思っています。では、どういう時にアオリが餌木にがっちりと抱きつくのか、それは竿の調子と乗せた後の竿操作に依存すると私は思っています。

 アオリはいきなり餌木を抱え込むようなことはしないと私は思っています。先ず、触腕で餌木に触っているイカは、釣り人がしゃくった時に針ガカリします。このときが、船のアオリ釣り特有のズシンという乗りです。

 問題はその後。

 ズシンと乗りが到来したときに、竿が硬いと、あるいはすぐにガリガリとリールを巻いてしまうと、アオリは足一本で上がってくることが多くなるように思います。ズシッとアオリが乗ったあと、竿を曲げたまま止めて一呼吸置く、そうするとアオリが餌木を引っ張ります。これは、触腕のみで餌木に掛かったイカが危機を感じ、あるいは激怒したのかもしれません、餌木にアタックを試みるためと考えられます。つまり、餌木を齧ってやろうと、10本の足を動因して、餌木にしっかり抱きつ いて噛み付くわけです。餌木の傷はこのときに付きます。

 このときに、穂先の曲がるストロークが短い竿、つまり硬い竿や短い竿では、アオリが餌木を引っ張る力に反抗してしまいます。軟らかい長竿の場合は、アオリが餌木を引っ張る動作をスムースに追従できるメリットがあるわけです。

 これは、いま水中カメラ映像でもっとも確認してみたいシーンです。

身切れを防ぐためのストロークの長さ

メバル竿の穂先が海面にまっすぐ刺さる。まるで大鯛をかけたような曲がり。

 特に大型のアオリが乗り、さらにしっかりと餌木に抱き付いてくれない状況では、アオリの強烈な引きにより身切れが発生します。これを防止するために私がリール竿のアオリ釣りで行っていることは、ナイロン7号の先糸を10mつけて、アオリの引きをナイロンの伸びで干渉する方法です。

 長竿の場合は、このような細工は不要です。なぜならば、アオリの引きに応じて穂先が追従する柔軟さとストロークの長さを持っているからです。PEラインを使う場合でも、PEラインは中オモリに接続してかまいません。

 これは、コマセダイ釣りで、細いハリスを保護するために、ムーチングアクションの長竿でマダイの突っ込みをかわすことと同様の効果です。

深場に強い長竿釣法

 従来のアオリ釣りでは、深場の対応が不十分でした。餌木においては、非常に合理的な手バネ釣りでも、狙う水深は30ヒロ(45m)くらいまで。現在のように、60-70mの深場まで落ちたアオリを追いかけるようになったのは、リール竿になってからです。

 深場を手バネで狙う場合、二枚潮になっていると糸の流れが大きいというデメリットがあります。ナイロンのメリットである水切れの良さが、その太さゆえに深場では潮の抵抗を受けやすいというデメリットで返ってきます。また、特に冬の風の強い時期は、初心者は手バネ糸の扱いに苦労したりもします。

 短いリール竿の場合、しゃくりの速度が手を振り上げる速度に依存するため、餌木には十分なアクションが伝わにくいと予想されます。釣り人は、懸命に竿をしゃくっているつもりでも、力は道糸の直性を得る方向に分散され、餌木にはその力は届いていないのです。

 竿の反発を使って餌木を動かす長竿釣法では、餌木にアクションを与えやすいことが予想されます。つまり、長竿釣法は、これからの深場アオリにとってもっとも効果的な釣法だということです。今年の冬はこれを検証できると思います。

***

以上、長竿釣りの付帯効果について書きました。この他にもまだまだ可能性を秘めているのが長竿釣法で、これから検証を続けて、また紹介していくつもりです。

サイトトップへ  アオリ長竿トップへ 前のセクション 次のセクション

 

inserted by FC2 system