アオリ長竿釣法のプロローグ

  「とにかく釣れるし、面白いんだから」。金沢八景、野毛屋の黒川勇治船長の言葉です。最初にこれを聞いたとき、勇治船長には悪いけど、「ほんまかいな?」と疑ってしまいました。まあ、長竿が大きく曲がって面白いのは容易に想像がつきます。でも、釣れるってのはどうだかなぁ…長竿だと餌木が動かないじゃん。

 これが正直なところの第一印象。でも、それが先入観によるものだったと気づくのに時間は掛かりませんでした。

 私が最初にアオリ船で長竿を見たのは昨年(2004年)の10月31日。野毛屋アオリ船で、一部の常連さんが長竿でしゃくってて、良型をばしばし乗せている。隣の私は餌木をとっかえひっかえやっても乗らない。けっきょく、私は小型のアオリが2杯のみ、長竿の人は10杯をあげていました。しかし、このときは好釣果が長竿のせいだとは、あまり思わなかった。船の中で長竿を使っていたのは2人だけだったし、短竿の人でも潮先にいった人はそれなりの数を上げていたからです。わたしが釣れないのは潮下で、餌木の色が合わなかったんだと自分を納得させていました。

 それが間違いだと気づいたのは、年末になってからのこと。

2004年末から、野毛屋では長竿人口が急増

 年末は野毛屋のウィリー船でイシダイが爆釣中。ウィリー好きの私は、迷わず納竿釣行に俊之船長のウィリー船に乗せてもらいにいきました。そこで黒川勇治船長 から声がかかりました。これが冒頭の言葉。

 「もう長竿の人と、短竿の人じゃ比較になんないよ」、という勇治船長に、「じゃ、年明けたらアオリに乗せてもらうから」と、生返事で船宿を後にしました。実はこのときは、イシダイ爆釣で、どう料理しようかで頭が一杯だったです^^;;。

 しかし、家に戻ってアオリが長竿で釣れる理由を考えてたら、いくつも思い当たることがありました。今まで1.3mのリール竿でアオリを釣っていたのは、もしかしたら大きな勘違いがあったかもしれない。年が明けるのが待ち遠しい大晦日でした。

長竿使ったとたんに胴の間で船中1号

1.5kgのアオリが玉網に収まった瞬間

 1月3日。さっそく野毛屋のアオリ船へ。私が持ってる竿の中でもっとも長い、櫻のグラスメバル竿(2.7m)と幻波マゴチ(2.1m)を選んで持っていきました。マダイ竿やヒラメ竿では、重いのと胴の張りが強すぎてダメなので、メバル竿かマゴチ竿か適しているとのこと。

 さっそく勇治船長に竿見せて、
私「この竿でどうかな?(と、櫻のメバル竿2.7m)」
船「(ビュンビュン竿を振って)うーん、調子はいいけど、短いな」
私「なぬ?2.7mでも短い!?」
船「俺の竿貸すから使ってみなよ」

と、3.3mの竿を貸してくれました。ベースは幻波メバルのブランクで、スレッド巻きのハンドメイドロッド。グリップには「鶴」が羽ばたく絵柄があって、なんかすごく凝ってる。
※ 後で聞いたら、「鶴」は「釣る」とかけているそうです…^^;;;

 で、釣り開始。私は胴の間で、操舵席の下。ひゅんとしゃくってみて、「こんなもんでいい?」 「うん、なかなかいいよ」としゃくり方をレクチャーしてもらっていると、 いきなり、ズン!…船中1号が乗っちゃいました^^;;;。こりゃ本物だ。ちょっと証拠写真を撮ろうってんで、その後はカメラを持って竿が曲がるたびにパチリパチリ。

 結局この日はというと、あまり調子よくなかったんだけど、他の長竿の人がトップ。短竿の人はほとんどボーズ....短竿の人、けして素人じゃないです、餌木のセレクトやしゃくり方から経験がわかりました。でも、長竿で乗るのに、短竿で乗らない。 10月の私と同じ状態^^;;。

 「取材させてよ、ページとってくるから!」と勇治船長にお願いして、翌日には編集部にフィルム送って、こんな面白い釣りがあるよとアピール。取材GOがでたので、あらためて野毛屋に向かったのは、翌週のこと です。

またもや長竿の独壇場

長竿が満月、アオリとのやりとり

 取材日も、乗るのは長竿が目立ちまくり。胴の間に入った私は、新調した3.6mのメバル竿でしゃくり開始。乗るんですね、これが…。1.2kgがズドン。この後は余裕で写真撮りに専念できました(^^)。

 翌日はHPでのアナウンスが効いてか、ほとんどの人が長竿使用。最初にアオリを乗せたのは、胴の間の女性、アオリ釣りは初めて、これにはびっくり。さらに、アオリ釣りどころか、船釣りが初めての人にも良型アオリがズドン…。いずれも長竿でした。

 「ちょっとデータとっておいてよ。記事で使うから」。そう勇治船長にお願いしたのは、1月7日のこと。で、当日の釣果を聞いてみると、

    長竿  8人   33杯
  短竿  3人    3杯

 すでに野毛屋では、長竿が圧倒的に釣るという状況になっていました。釣果をまとめたグラフは後のセクションで掲載しています。

釣り座関係なし、餌木の色関係なし、関係するのは竿の長さ

 勇治船長の言葉を借ります。
「長竿の人ばっかりに乗ってくるんだよ。短竿使ってる人は、イカを長竿の人に持ってかれちゃう。」
 私は、持ってかれた経験も、持ってった経験もできました^^;。
「長竿の人は釣り座どこでも関係なし。みんな短竿使ってた頃は潮先から乗ってきてたけどね。潮先の短竿を飛び越して、胴の長竿に乗ってきちゃう」
「餌木の色はなんでもいいよ。ピンクでもオレンジでもいい、長竿使うとあんまり関係ない」
これらは、アオリ釣りではなによりも、餌木の動きが大事だ、ということを示していると思います。

さて、自分でも長竿アオリを体験した、写真もばっちり撮った、船長の話は十二分に聞けた。これからの私の仕事は、これらを組み合わせて文章(コンテンツ)に仕上げることです。

 自分の中で取材した内容を整理していくうちに、長竿釣法は理屈が通っていて、これまでのアオリ釣りで問題視されていた課題の解消がなされていることが明確になってきました。次のセクション以降では、アオリ長竿釣法について私が知っている限りのことを書くつもりです。

 なお、アオリの長竿釣法については、つり丸の2005年2月15日でも紹介しています。カラー写真も豊富で、そちらもあわせて御覧になっていただけると、とても嬉しいです(^^)

サイトトップへ  アオリ長竿トップへ 次のセクション

inserted by FC2 system