イカでタイを釣る - イカダイ釣り

イカダイとは?

「イカダイって魚いるの?イシダイの仲間??」と思う方もいるかもしれませんが、イカダイは魚の名前ではなく釣法の呼び名です。イワシメバル、エビスズキなどのように、「餌+魚名」で呼ばれる釣法はいくつかありますが、イカダイもそのひとつです。つまり、先に餌になるイカを釣り、それを泳がせてマダイを釣るわけです。イカはムギイカやヤリイカ(ヤリンボ)が使われますが、ここでは冬のイカダイ釣り、つまりヤリイカ餌のイカダイの紹介をします。

マダイは雑食性で、いろいろな餌を追いますが、冬に深場に落ちた良型のタイはヤリイカが好物。といっても、ヤリイカはマダイに限らずほとんどの魚にとって大好物(人間様も大好物^^;)ですから、ポイントによっては思わぬ魚が食ってくる意外性も持っています。例えば、ワラサ/ブリのような青物、メダイ、イシナギなどがその例です。歓迎されざる外道の代表はサメ^^;、またミズフグもヤリイカをぼろぼるにするにっくき外道です。仕掛けの先のヤリイカに何が食ってくるかはそのときのお楽しみ^^;。

乗合でもやれないことはない、が

実はこの釣り、ヤリイカ乗合でもけっこう見られます。空いている船ではミヨシやトモで泳がせ仕掛けを下ろしている常連さんの姿を見かけます。しかし、ヤリイカ乗合の目的はあくまでヤリイカ狙い(あたりまえか^^;)。乗合でこの釣りをやることはいくつか壁があります。ひとつは、イカの反応を追って船は移動を繰り返します。なかなかじっくりと泳がせの仕掛けを底にキープできないことが多いです。反応がやたら濃かったり、風波で船が思うように動けないときには流しの時間が長くなり泳がせる時間も長くなりますが、そうでない時には上げ下げが頻繁でイカの弱りも早かったりします。もうひとつは竿を出せる位置が限られていること。胴の間ではよっぽど空いてない限り泳がせ仕掛けを下ろすことはできません、オマツリする理由からです。たいていは、空いている船で、四隅にいる人が船長の許可をもらって泳がせ道具を下ろす、というのが乗合でのスタイルです。

そこで、この釣りはほとんどが仕立の釣りになります。ある程度のヤリイカを確保(これは餌とお土産を兼用している)してから、皆で泳がせ仕掛けを下ろしてじっくりと流したり、あるいはイカの場所から離れてタイの実績のあるポイントに移動したりすることが、仕立船では可能です。

イカタックル

イカタックルは通常のイカ釣りとまったく同じ。相模湾の昼釣りの場合は120号オモリを使用しますので、メーカーからイカ竿の銘で市販されているものを使います。大島あたりの夜釣りの場合はオモリが100号なので少し柔らかめの竿を使うことも可能ですが、基本はイカを釣るにはイカ竿を使うです。

ツノの選択も通常のヤリイカ釣りといっしょ。11cmのプラヅノを5-8本使います。慣れない人は少なめ、慣れた人は多めというところです。ハリスは3-4号、幹糸は4-5号でいいでしょう。

泳がせタックル

オモリはイカ釣りと同じ120号を使います。潮が速い場所では150号を使うこともあります。仕立の場合はみなで統一することが重要なので120号を通して使うので問題ないでしょう。

竿はマダイ釣りといっても、コマセダイで使うような軟調長竿は扱いにくいです。コマセダイ用の竿であれば、50号負荷か80号負荷で3.0-3.3mくらいまでがいいと思います。ワラサなどに使うワンピースロッドであれば6-8LBSの柔らかめの方が食い込みが良いと思います。あとはいわゆる7:3調子と呼ばれる胴付き竿が使えます。シマノの海明、アルゴス、ダイワの剣崎のようなタイプです。50号負荷の2.7m前後がいいでしょう。

食い込みのためにはある程度柔らかい竿が使いやすく、青物やメダイが食ったときなどは腰のある竿が使いやすいですが、あまり神経質に竿を選ぶ必要はないです。極端にいえば、120号のオモリをしょえる竿であればだいたい大丈夫でしょう。

夜のヤリイカ釣りなどで泳がせる場合には、時にはブリ、ヒラマサ、まれにモロコがきたりすることもあります。青物がいるときは手返し勝負になりますので、漁師はごつい仕掛とごつい竿でガンガン上げるため、泳がせ仕掛では20号を使ったりすることもあります。

リールはイカと兼用でもいいですが、イカ用リールにPE3号のような細い糸を使っている人であれば、別にPE6-8号が巻いてあるリールを用意するほうがベターです。PE3号だと思わぬ大物がきたときにハリスとのバランスが合わないためです。

ハリスは8-16号とこれも人によって幅があります。マダイであれば8号でどんなサイズでも上がりますが、餌がヤリイカだけに何が食ってくるかわかりません。どんなもんが食っても上げたる、という人は太いハリスを使う傾向にあるようです。針はヒラマサの15号くらい、これもマダイよりややオーバースペックのサイズですが、活きヤリの場合はコマセダイと違い、ハリスの太さや針の大きさはほとんど影響されません。大は小を兼ねる、という考え方が通用する釣りです。

孫針仕掛けを使う

活イカ餌仕掛けの特徴は針を2本使うということです。孫針仕掛けですが、通常の孫針仕掛けと異なるのは、「親針<=孫針」の関係であることです。親針はイカの胴の先端に打ち、イカを安定させる目的です。孫針はイカの水管もしくは足の間に打ち、これが主に魚を掛ける役目を果たします。

仕掛図:クリックで拡大します

代表的な仕掛けは胴付き式と天秤式です。胴付きは、ハリスを1ヒロ〜1.5ヒロと短くし、親子クレーンサルカンを介してハリス、道糸、捨糸を接続します。ス捨て糸は20cmくらいと短くて良いです。クレーンサルカンの上部にハリスの号数に応じたクッションゴムを1-1.5m接続します。例えばハリス8号であれば3.5mmくらいの太目のクッションの方が使いやすいです。

天秤仕掛けはハリスを2-3ヒロ前後と長くとり、針の上に中通しオモリをつけてイカを底に向けます。こちらは胴付仕掛に比べて絡みが少ないというメリットがあります。

棚は高めで

基本的に棚は高めにとります。オモリの位置で、底から5−8mくらい上げるので良いでしょう。特に夜釣りの場合は、あまり下げるとサメに狙われることが多くなります。底から7m上げてもヒラメが食ってくることなどもあります。イカのいる棚に餌を置くのが基本ですが、ここらは船長に確認するのが一番確実なやり方です。

釣り方はかっぽっとくだけ^^;

釣り方は単純そのもので、棚を合わせたら、あとはひたすらアタリを待ちます。根の際などでは棚を上げるように船長が指示してくれることもあります。 ときおり棚を取り直す操作が必要ですが、それでもコマセ釣りと違い、いったん仕掛けを下ろすと結構ヒマな釣りです^^;。

ぜっっっっったいに早合わせはダメダメダメ

アタリは竿先に明らかな変化が現れます。このときに絶対あわせないでください。泳がせ釣り共通ですが、とにかく魚が食い込むまで待ちます。ガンッガンッと叩かれてもまだ合わせちゃだめ。やっこい竿の場合はキーパーに セットしたまま、硬い竿の場合は手にもって船の揺れを吸収する程度に抑えて食い込みを待ちます。

竿がずっぽーんと引っ張りこまれたときがあわせのタイミング。合わせるといっても、このときにすでに針は魚の口に掛かってますから、合わせるのはさらに針を食い込ませるという目的です。ハリスが太いので遠慮はいりません、ここまできたら気持ちよく合わせてください^^;。

合わせは特にタイの場合は絶対に必要です。合わせが甘いと、針が刺さらずに途中ですっぽ抜けることがあるので、ハリスが切れない程度に(笑)、しっかり合わせてください。

で、あとは引きから魚の大きさを判断してひたすら上げるだけ。サメでないことを祈るのを忘れずに!^^;

2001.12.28 Yasuhiro Ii
update 2006.05.08 図を追加、棚の記述を追加、合わせの必要性を強調、他

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