先調子竿を叩きまくられる楽しさ満喫、鴨居式シャクリ釣り

夏も終盤に差し掛かり、シャクリダイには絶好の季節がやってきた。8月24日、ちょっと遅い夏休みをとってでかけたのは新山下の打木屋さん。鴨居沖ではよくみかける船なのだけど、シャクリダイで乗せてもらうのは初めて。7:30に11人の客を乗せて出港。

本日は小潮、実はあんまり条件がよくない。この釣り、潮が動かないと鯛の機嫌がよくならない、そもそも鯛は潮の好き嫌いが激しい魚なのだけど、シャクリダイに関しては大潮がやはり釣果がよい事が多い。

ポイントにつき、餌の活きエビが配られ釣り開始。最初のポイントは第二海堡北側の30mダチだ。テンビンが底についてからハリス分をきっちり上げてアタリを待つ。底の机上を確かめるために、頻繁に底ダチを取り直す。大きな誘いは入れないが、たまに竿先をゆするようにして誘いを入れてやる。この、アタリを待つときの緊張感がたまらない。

最初の流しは私にはコツコツとアタリがきたけど、これは餌取り。エビがぼろぼろになって上がってきた。次の流し、底ダチを取り直して待つと、グッ、と小さいが竿先を押さえ込むアタリがきた。すかさず竿を跳ね上げて合わせる。竿を止められるほどではないが、手応えあり。すぐにリールを巻いて針を貫通させる。ここからが一番楽しいところ、針ガカリした鯛は首を振りながら抵抗する。伸びのないPEライン、しかもクッションゴムのような緩衝材はない。先調子竿の竿先をカンカンカンと鯛が叩く。いやぁ、ひさしぶり(2年ぶり)のシャクリダイの感触。型は小さくてもしっかりと鋭い引き込みをみせてくれるのが嬉しい。船長のタモに納まったのは500gのグルメサイズ、親針ががっちり上顎を貫通している、こうなると滅多なことではバレないので安心だ。まずは船中一号の型をみて一安心(^^)。

この日は幻波スミイカH240とABU5500Cとの組み合わせ。この釣りには釣具から撤退したMamiya-OPの20B-180を愛用していたのだけど、こないだのイシダイ釣りで折ってしまった^^;。代用にはカワハギ竿、スミイカ竿、フグ竿が使えるが、もっとも先調子で引きを楽しめるスミイカ竿を選択した。アワセもぴったり決まって合格。

次いで、あちこちで竿が曲がる。上がってくるのは500-800gだが、食べるにはこのサイズがベスト。鴨居のタイの引き締まって透き通った身質を味わうためにはキロ以下がいい。

私に2回めのアタリがきたのは2時間後、クッと小さなアタリ。反射的に鋭く合わせる。重い、しかしググッと魚が動く感触だった。良型のタイの場合は、あわせた竿がガシッと止められる。小型のタイであれば、軽く魚が浮いてくる。しかし、この感触は重くて魚が動いた、タイではない。

リールを巻きつつ合わせをくれると、ギューンと下に突っ込む。竿でしのげずにドラグから糸を出す。魚が止まったら巻き上げる、また走る、糸を出す、の繰り返し。中層を過ぎて海面近くまできて、ひときわ大きな突っ込みをしてくる、まだ魚に余力がある。水面の引きをかわし、テンビンがみえてきた。

こいつの正体は途中から見当がついていた。案の定、姿をみせたのはスズキだった。74cm、後検量3.2kgの立派な魚体だ、沖の魚のせいか、ヒレがピンと張っている。エラを切って血抜きし、ナイフで締める。首の後ろに大きく切り込みを入れて、背骨の中まで歯を入れる。クーラーに入れるのに折り曲がってしまうがしょうがない。嬉しい外道だ、なによりも、スミイカ竿にダイレクトに伝わる強い引きには痺れた。

船長は潮時をみながら第三海堡、航路際などを攻める。ぽつぽつと型はでるが、そのうち潮がたるくなってしまい、アタリは遠ざかった。こうなるとマダイ釣りは厳しい。潮止まり後は、鯛からのアタリはなく沖上がりの時間を迎えた。

ひさびさの鴨居式シャクリは、500gの♀が一枚、ボウズも出る釣りだけに、型を見られて不満はない。それに外道のスズキの釣趣を楽しめたことが望外だった。船中釣果は0-2枚、11人で7枚だった。小潮まわりの条件としてはけっして悪くない釣果だ。潮が動く日であれば、大型交じりで数が伸びるだろう。

鴨居シャクリは秋がベストシーズン。まだまだ本番はこれからだ。立て釣りやビシマの手釣りも鯛釣りも楽しいし、手バネの竿+手のコンポジットも楽しいし、コマセダイの竿満月も楽しいが、鴨居シャクリにはこれらとはまた別の楽しさがある。道具も手軽で、他の釣りの竿を流用できるし、リールを使うので初心者でも親しみやすいところが良いところ。エビタイ入門にはうってつけではないだろか。

ああ、また編集部に出す原稿のような文体になってしもうた....^^;

2001/8/25 Yasuhiro Ii

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