野毛屋エビタイ奮闘記

プロローグ

初戦完敗 2002/4/20

潮動かず連敗 2002/4/29

頼みの立て釣りも通用せず 2002/5/11

取材は成功だったが…屈辱の一人ボウズ 2002/5/18

沖上がり30分前、連敗に終止符 2002/5/26

エピローグ

まだ終わっていなかった…野毛屋エビタイのミューテーション 2002/7/28

新たなる挑戦、真夏の大鯛バトル 2002/8/4

強風の中の連敗、熱いっ 2002/8/11

ついに上げた、4.4kg 2002/8/18

今度こそエピローグ?

7kgの大鯛で有終の美。激動の2002年は終わった 2002/9/18


プロローグ

 金沢八景の野毛屋といえば、ウィリーのコマセシャクリで名をはせている船宿。4月7日にマダイ、ハナダイを釣りにウィリー船に乗り込んだ。この日の私はまったく調子が悪くてハナダイが一枚のみ。道具を片付けているときに黒川勇治船長が声をかけてきた。

「こんどさ、エビタイやろうと思ってんだよ」
「ん?鴨居でやってるやつ?」
「いやいや、中オモリは8号使う」
「それって竹岡式じゃん。面白そうだね。手バネ使うの?」
「だろう?手バネでもリールでもどちらでもいいんだ。リール竿だったら、新素材使うからダイレクトに引いてたまらんよ」
「いつからやんの?ぜひ取材させてよ!」
「おぉ、こっちからもお願いしたいとこだ。」
「平日だと私はくるの厳しいから、編集部に電話してもらうから。できればカラーで紹介したいよね!」

なんと、竹岡式のエビタイ乗合をだすとのこと。やっほーい、スクープじゃー^^;。

「エビは活きたの使うの?買うとこあるの?」
「そこはバッチリ!2つの場所のあてつけてある。エビはたっぶりあるよ」

とても楽しみだ。さっそくつり丸編集部に電話。副編集著の丸岡さんに電話してもらい、 型がでれば即GO!の体制を整えた。

神奈川県側のエビタイの状況といえば、これまであることはありました。代表的なのは鴨居、鴨居大室港からでている鴨居式シャクリ。30号の鋳込みテンビンを使って釣り人自ら底立ちをとる釣り方。これはこれで面白い。鴨居のほかには、山下橋の打木屋、腰越の池田丸が時期限定で乗合を出している。さらに仕立だと大磯や三崎からも出ている船もあります。また鴨居では立て釣りという昔から漁師が行っている釣りもあるけど、これは今では仕立のみ。じゃあ、神奈川県では竹岡式のシャクリはできないのかというと、7,8年ほど前に房丸の早朝船でやらしてくれてました。しかし今ではこの乗合はなくなり、竹岡式シャクリをやるには、竹岡で仕立てるか、上総湊の乗合に乗るしかないです。

つまり、野毛屋での竹岡式シャクリ乗合は横浜では始めて、神奈川では唯一の乗り合い船になるわけです。
ニュースバリューも高いし、なによりもうちの近くでシャクリ釣りが楽しめるのはありがたい!期待値は∞。

そして、つりにエビタイ乗合が始まったのは4月19日の金曜日。小型ながら船中2枚でたとのこと。
初日にはいけなかったけど、翌日の4月20日にGO!いい型みられたら記事にしちゃおう、とりあえずカメラは忘れずに。
これが苦難のバトルの始まりでした^^;;。


初戦完敗 2002/4/20

宿にいくと客の出足はそこそこ。常連さんを中心にエビタイと聞いて集まった人は10人、BBSのハマちゃんも同行。手バネが3人、リール竿が7人。私はもちろん手バネを使います。

黒川勇治船長が最初に選んだポイントは鴨居沖、鴨居大根の南側のポイントでした。指示棚は上から45m前後、さあ、記念すべき横浜初の竹岡式シャクリの開始だ!気合をこめてしゃくるもタイからのアタリは…なし^^;;;。まだまだポイントはたくさんあるさ、と言わんばかりに船長は移動を繰り返します。いろんな場所の様子をみる目的もあったんだと思う。次は航路ブイまわり、タイが食えばでかい、というポイント、しかし不発。久里浜沖に下がってコマセ船団の上手で開始、だめ。金谷沖へ移動、竹岡船団の脇を流す。取り舵の竿が曲がった、でもウマヅラ^^;。私には良型のカワハギがきた。とりあえずキープ^^;。しかし、その後は船中アタリなしで沈黙。

時間がきた、船長は走る走る。あれ?帰るんじゃないのかな?なんと中の瀬まできちゃった^^;。棚は上から7m、おみやげのアイナメ狙いでした。けっこう良い型のアイナメがばたばたと船中3本あがって今日のつりは終了。船中マダイは0枚、惨敗。黒川船長がおみやげ狙いをすることは珍しいなと思った。

まあ、しかしマダイにボーズはつきもの。ぜんぜん気にすることはない。今後に期待を込めての帰港になりました。

わたし「取材どうしようか...??」
「まだ潮悪いなー、もうちょっと様子みてからの方がいいんじゃないかな?」
「そだね、じゃ、そうしよ。またくるから」

すぐにでも取材に伺うつもりだったんだけど、とりあえずは様子見、ということに決定。


潮動かず連敗 2002/4/29

どうも開幕以来調子が上がらない。初日こそ2枚でたものの、それ以後の新聞釣果にあがらない。前日に電話してみた「まだエビタイでてるよね?」。「でてますよ、今日もでたし」とおばあちゃんの答え。じゃ、明日はいくしかない。

宿につくと、船長渋い顔。「何度か掛けてはいるんだけどなー、針が折れたり、ばらしたりで、上がらない」。そういうことなのね、したら、今日は釣っちゃいましょう、と期待をこめて出船。この日の釣り人は5名とややさびしい。やっぱり釣れないと客は減るなー…釣れたら大人気の釣りモノになるのは間違いないと思うんだけど…

この日は一路下浦沖へ、手バネは私と船長だけで、あとはリール竿で開始。隣には竹岡の船が一隻。反応をしっかり探して根の際を丁寧に流す。面舵の胴の釣り人が竿を曲げた。上がってきたのはハナダイ。潮はいいかもしれない。しかし私にはタイのあたりはこない、変わりにメバル、カワハギ。うーん、、、棚と合わせのタイミングは悪くないんだが…

潮が緩み、雨崎沖へ移動したけど、ここも不発。次いでのっこみの大場所、松輪瀬へ向かう。

「船長、コマセ船団の中につっこんじゃおーよー!」なーんて言ったら「脇でやってこっちに食ったためしがないんだよな」と、少し離れて開始。ここでも釣れるのはカワハギのみ。そうこうしているうちに松輪の早朝船が帰った、残るのはうわてのコマセダイ船数隻、ここでコマセ場にGO!
タイがいることは間違いなし、口を使ってくれるかはタイのご機嫌次第だけど、すごく期待が高まりました。しかし、期待もむなしくアタリなし。

沖上がり時間が迫ってきた。松輪瀬の西に移動、隣には三喜丸が流している、エビタイvsコマセダイの一騎打ち。と、三喜丸の竿が入った、上がってきたのはキロくらいのマダイ、負けたー^^;;。

「なーんでコマセに食ってこっちに食わないんだろな」の声で今日の釣りはジエンド。

連敗はさすがにきつい、次回は釣り方を替えてみよう。


頼みの立て釣りも通用せず 2002/5/11

今日は手バネを捨てることにした。船長の指示棚を信用していないわけじゃないけど(ちょっぴりだけ疑ってたけど^^;)、棚を自分で探る釣りが私にはあっているし、立て釣りと手バネとでは、立て釣りの方が経験が長い。立て釣りは常に底(立ち)を取り、常に誘いを繰り返すという、数多いマダイ釣法の中でもっともアグレッシブな釣り方だ。これで釣れなかったら諦めがつくというもの。

ところが、宿にいくと思わぬピンチ。土曜だってのに客が私しかいない.....^^;;;。雨模様も影響してるけど、一人ってのはキビシー。こりゃ出直すしかないな、と思い帰ろうとしたら、黒川船長「行こう!」。大型船に客一人での大名釣りになってもうた。

私は立て道具、船長は手バネ。まずは保田沖へ。第二海堡を攻めようとしたんだけど、潮がかっとんでいたんで下に下がりました。保田のコマセダイ船やアジ船が流す漁礁まわりのポイントへ。漁礁の間を流すも、タイからのアタリは今日もなし。仕掛けを上げてくる途中にキュンといいあたりがあってエビの頭をかじられたけど、タイかどうかは不明。アタリらしきあたりはこれくらい。

次いで金谷沖、そして昨日実績のあった(3枚上がった)久里浜沖へ。しかし、今日は陽気の悪いせいか、アタリなし。

そして沖上がりの時間がきた。「もうちょっとやってみよう。コマセが帰ったとこやってみるから」と、久里浜沖にいくと反応はバッチリ、しかし、オキアミに慣れたタイはエビを嫌うのか、ついにアタリなし。2人きりの乗合で時間過ぎまでやったけど、今日も船ではマダイ0枚、くやしーっ!

一人でも出てもらったし、立て釣りで攻めまくったし、やることはやった、という気分です。しかし、諦めはぜんぜんつかない^^;。このままで終われるわけがない、3連敗なんて異例のことだけど、釣れるまでやったる!


取材は成功だったが…屈辱の一人ボウズ 2002/5/18

編集部に顔を出して丸岡さんと取材の話。
「野毛屋さんどうですかねー?期待してるんだけど」
「型はでてます。月曜日には5.2kgもでました(新聞発表の6.8kgは間違い)。でも安定しないみたいです」
「そうかぁ、船長なんていってました?」
「釣れなくても当分やるっていってますよ。週末にいちかばちかで勝負かけましょうか?」
「そうですね、いってもらいましょうか。一人でも釣り人多いほうがいいから、僕も乗りますよ」

と、丸岡副編集長の参戦決定。結果的には丸岡さんに助けられる結果になるとはこのときは想像せず…^^;

土曜日はまたもや雨模様、それでも常連さんが一人いて、私と丸岡さんとで客は3人。黒川船長いわく「このところ毎日型みてるからね」。そう、私が乗った先週の土曜日以来、毎日型がでてるのだ。なんで私が乗った日だけ釣れない?などという疑問はこの日に吹っ飛ぶことになります。

今日は手バネが多い、3人が手バネ、丸岡さんがリール竿に鴨居シャクリの専用竿。船はまっすぐに保田沖へ。先週きたところなんだけど、ここでずっと食ってるとのこと。棚は海面から50mの指示、ちょっと深い。

すぐに常連さんにアタリ。上がってきたのはハナダイ。ハナダイでもなんでも釣りたいぞー!と思ってると、丸岡さんも竿を曲げている、これもハナダイ。「今日は反応いいよ」と船長。そしてついにマダイがでた、上げたのは船長。それまで合わせ損ねが2回ほどあったらしいけど、しっかりと500gのマダイをあげました。がぜんやる気でた。

次いで丸岡さんに小型のマダイがきた、いーぞいーぞ。そしてハイライトは昼近く。「あげてみて」の合図でふとまわりを見ると、丸岡さんの竿がガンガン叩かれている。慎重にやりとりしている、型が良さそう。浮いたのは2kgのマダイ。「いい型だ!」の声があがった。仕掛けを上げるときに食ってきたそうだけど、しっかりそれを上げるところはさすがです、脱帽しました。そしてその後も500gを追加して4枚で竿頭、まいった。

おかげで写真はとれたし、記事の内容もバッチリ。しかし、肝心なことが抜けている。

  私だけ釣れていない!

船長から「あと一人だけだよ釣ってないの、困るんだよなー、こういうときに釣ってもらわないと(笑)」。わかってるわい、そんなこと!^^;;
その後の私の必死さは想像に難くないと思います。あの手この手(といっても手バネではそんなに技もってないんだけど)や、棚を替えテンヤを替えるも効果なし。

俊之船長のウィリー船から、久里浜沖の潮がいいよ、との情報もらって久里浜沖、航路ブイまわりも転戦するも、その後はアタリなし。

嗚呼、一人だけボーズになってもうたぁあああ!!!

船長と丸岡さんが釣ったタイを一枚ずついただいて帰路につきました。
(翌日は洲崎の六平丸にいってダメ押しのボーズ、もうボロボロ^^;)。

もう、引くに引けない状況になりました。当然翌週もチャレンジすると心に誓いながら原稿を上げてバタンキュー。

本日の模様は、つり丸6月15日号に掲載されるので読んでやってください。


沖上がり30分前、連敗に終止符 2002/5/26

すでに悲愴感も漂いつつある野毛屋の連戦。この日はBBSの鈴みつさんも参戦。朝船宿に着くと、前日乗ったきー坊さんから伝言とプレゼント。テンヤをいただきました(^^)。先週は丸岡さんからもテンヤもらったし、なんか人の情けが見にしみる昨今だ^^;。きー坊さんは昨日に型をみたとの事、よし、頑張ろう!今日は7人で出船、勇治船長は「背中が痛い」とのことで^^;、竿はださず。

勇治船長が朝一に選んだポイントは久里浜の東電前。実はここ、隠れたのっこみポイントでくればでかい。上から25mの棚でしゃくるも不発、次いで久里浜沖、金谷沖、そして先週実績の上がった保田沖と移動。船ではアマダイ、ワニゴチ、カサゴ、オニカサゴなどが上がる、しかしタイからのアタリはなく昼をすぎちゃった。

上げ潮が聞き始め、久里浜沖へ移動。ここは昨日4枚上がったところ。潮の流れもゆるやかでいい感じ。面舵のトモが食わせた、良型のハナダイ。そして、面舵の胴にいいアタリ、リール竿がギュンと引っ張られたけど、合わせが甘かったかバラシてしまう。
私には相変わらずアタリなし、ここが勝負所とばかり餌かえ棚かえシャクリまくり、しかし、タイからのアタリはなし…今日もダメか…?

最後の一時間、船長が移動。向かった先は鴨居大根、棚指示は40m。野毛屋エビタイでは初めてきたけど、実はここ、鴨居シャクリのウルトラメジャーポイントで、過去何度も何度もきたところ。しかも大潮の日の午後の上げ潮の実績は高い。まわりには房丸(周年鴨居式シャクリ乗合を出している唯一の宿)、きよし丸(小田淳船長は野毛屋で舵とってた)、赤穂丸など、見慣れた船がいる。なんか妙に落ち着く雰囲気、これはいけるかも?

2流し目、しゃくりあげた竿先に確かな重みが伝わった。すかさず合わせをくれる。乗った!しかし、マダイ独特の突っ込みがない。
「乗ったか?」小田船長と携帯で話していた勇治船長が声をかけてくる。「いや、タイじゃないかも。首振らないから」と答えて手繰り上げる。

しかし、10ヒロくらい手繰った頃だろうか、「グンッ」、やった、首振った!(^^)。
ほぼタイと確信、しかし型は小さい。中オモリをとったところで船長に「途中で首振ったわ、タイだと思う」と告げる。水中に浮かんできた陰は待望のマダイだった。そのまま抜き上げる、500gの綺麗な♀ダイだった。やったー!ここまでくるのが、な、長かったー…^^;

型は小さい、でも、この釣り、しかもボウズ続きの末に釣ったときの喜びは大きさとは関係ない。これまで何枚もマダイは釣ったけど、この一枚の嬉しさは格別だった。

まもなく沖上がりの合図。船中一枚のマダイは、私のテンヤに食ってくれた。海の神様に感謝!


エピローグ

横浜初めての竹岡式シャクリ乗合挑戦は、5回目にして初めて型をみて一応落ち着きました。まさか4タテくらうとは思わなかったけど、それなりの苦戦は予想してました。釣り人にも、そして船長にもまだ実績のない釣りは迷いがあるのが大きな原因でしょう。似たようなことは過去にもあって、東京湾や相模湾ででアオリ乗合が始まった頃に、一部のマニアックな釣り人と船長とで、今やブームになっているアオリ釣りを探索していた時期もありました。そのときも、船中0はあたりまえ、からっぽのクーラーで帰ることは珍しくなかったです。

開始してから一ヶ月あまり、船長の頭の中には、釣れた実績の様々なパターンがインプットされているようでした。上げ潮で食う場所、下げ潮で食う場所、ゆるい潮ではここ、速い潮ならここ、コマセでは釣れてエビ餌には釣れない、棚を高めにとるべき場所、低めにとるべき場所、などなど、東京湾の数多くのマダイポイントを流しました。これだけあちこち攻める船は私も初めてで、流し方も実績ベースになっていました。これまでの野毛屋エビタイ乗合の最大は5.2kg(5/13)、最多は4枚(5/18)、これは遠からず更新されるでしょう。

個人的にこれだけ連続して通って、連続してボウズくらった釣りは初めてでした。釣果は最後の一枚だけだったけれど、二輪の限定解除を成功させたときのような爽快な気分になっています^^;。この釣りは熱くなるし、そして面白い。

野毛屋エビタイにはまっていた間、他の釣りもんがお留守になってしまったので、しばらくは他のタイ釣りのリカバリーをしますが、この乗合は看板でている間は通い続けるつもりです。楽しみなのは秋の落ちダイの時期なんだけど、勇治船長は秋は青物泳がせ乗合の方をやりたいっていってた^^;。マダイオヤジの私としては、カンパチよりはマダイ、なんで、是非秋もエビタイを続けて欲しいものです。安定度では今の時期よりもかーなり上なもんで。
あと、野毛屋では今年の夏にさらに新企画モノをリリースするつもりだそうです。これまた面白い釣りなんで、その時はまた紹介します。

さきほど鴨居で釣ったタイを松皮造りにして食べました。締まったテクスチャの綺麗な白身、鴨居ブランドのタイはもともと美味しいのだけど、なんか今日のマダイはいつも以上に美味しく感じました^^;。

2002/05/26 Yasuhiro Ii


まだ終わっていなかった…野毛屋エビタイのミューテーション

 初登場のエビタイ乗合の取材もすんだ。小さいながらも型をみた。これでエビタイは一段落、ということで、私は野毛屋の僚船のショウサイフグ乗合に乗っていました。そこで聞いた無線でのエビタイ船の釣果は、ななな、なんと!4.6kgを頭に良型中心で、7人9枚の釣果!?!?

 信じられない、いったいどうしちゃったの?だって、ふつーは夏のマダイってったら小型中心だよ。浅いところでキロ以下の小型狙いってのが東京湾の常識だもの。港に戻ってから勇治船長に話を聞きにいくと、してやったりの顔^^;。20mの浅場、それもこれまでどの船もマダイを攻めてないところでやってるそうだ。仕掛けは竹岡スタイルの8号中オモリではなく、大原スタイルの8号テンヤダイレクト接続で、自分で立ちを取るとの事。

 それを聞いても全然ピンとこない。私の知っているマダイ釣りとは違う。野毛屋はどうやら独自のスタイルを作ったようです。

 エビタイバトルは終わっていなかった…


新たなる挑戦、真夏の大鯛バトル

 さて、翌週の休みにさっそく釣行。この間の平日にも良型連発していて、まさに絶好調状態。バラシも多いらしい、なんでみんなそんなにバラスんだろなー?と暢気に構えていたのですが、これが後で我が身に降りかかることになります^^;。

 さて、出船してからキャビンに入るとすぐに船はスローダウン、もうポイントに着いたらしい、そんなバカな、ここは猿島じゃん。「もしかしてスズキ狙うの?^^;」と聞くと、「ここで大型連発してるんだよ!あそこのきよしの船(注:元野毛屋で舵とってた小田船長の船)なんかもう4枚掛けてるぞ。取れたのは1枚だけだって」。これがこの日のカルチャーショックの始まりでした。

 水深は20m。これなら立ちは楽にとれる。底をテンヤでトレースしながらしゃくりを入れ続ける釣りです。「ここはくれば全部でかいんだ 」と船長。こんなとこでほんまに鯛がいるんかいな?と半信半疑、だって他のエビシャクリ船だって、攻めるのは第三、第二海堡まで、走水のアジ船で鯛が混じることはあるけど、猿島はさらにそのうわっかわ、アイナメ釣りで流したことありそうな場所です。その疑いは1時間も続きませんでした。右舷の手バネにーちゃんにヒット、でかいっ!^^;; しかし、あえなくハリス切れ。「だからでかいのくるっていっただろー(--#」と船長^^;。ついで左舷のリール竿にヒット、これもでかい。しかし今度は針はずれ。「たのむよー、とってくれよー」と船長^^;。 …こりゃ大変な釣りだぞ。

 まず浅い(20m)んで、タイの引きが強烈、しかも弱らない。糸出してやらないと切られる、かといって糸を緩めると首振って外される。押しても引いてもだめというところです。手バネの糸さばき、リールではドラグとロッドコントロールの技術が要求されます。

 その後アタリが遠くなったので、転々とポイント移動。それがまた北へ向かっちゃう^^;。横須賀沖、小柴沖@_@、さらには富岡沖まで攻めちゃった。まわりにはカサゴ船とかアジ船とかがいる場違いな雰囲気。「な、なんでこんたとこにてえがいるんだぁ?」と思わず船長に聞くと、「水ありゃどこだっているよ!」との返事^^;。実は流しているのは魚礁まわりで、いまの時期にここらで網を引くと7kg,8kgのマダイが混じってくるそうです。スズキ船でもマダイによるハリス切れがあるとのこと。

 午後になりハイライトがやってきた。場所は小柴沖の沖の根ブイまわり。ここを丹念に流します。左舷の胴にヒット!上がってきたのは3kg級の見事なマダイ。その後もぼこーんずこーんと竿が入ります、すげー^^;。しかし、相変わらずバラシも多い。船長「7kg以上のもいるから、大事にやってくれよー」。

 そしてついに私にもアタリがきました。コツンと小さなアタリをあわせるとギュンと引っ張る。きたきたきたー^^、左手で糸を引っ掛ける、スカッと空振り(だせー^^;)。再度糸を取りなおそううとすると魚が走った、どわー、竿が伸されるー^^;。竿を投げ尻手でやりとり、魚は止まった。よしよし、こうなれば手バネ(手釣り)は有利だ。魚の動きにあわせて糸を操るのはリールの比ではない。何度かの突っ込みを交わしてヨリモドシを掴んだ。ハリスの長さは10m。もうひといき。

 しかし、ここでわたしは致命的なミスを犯してしまいました。

 あろうことかヨリモドシを下に置いてしまった。これは口にくわえねばいけないものです。魚の突っ込みに糸をスムースに送り込むため、特に今日のような浅場ではなおさら。案の定、ハリスを2,3手たぐると魚は反転し底へ突っ込んだ。糸を出す、のは簡単、しかし、ヨリモドシが船べりに引っかかってしまった…ハリス切れ。

 あぁ、自分で自分のどんくささに腹が立つ。

 結局、この日は11回アタリがあって、上がったのは半分以下の5枚。型は2.8kg-3.8kgと良型揃い。ばらした魚の中にはもっと大きいのもいたでしょう。

 このまま引き下がるわけにはいかない。


強風の中の連敗、熱いっ

 翌週に再チャレンジ。この日はステラのマスターも助っ人に。ところがあいにくの強風で、波はそう高くないけど上潮が早くてタチがとりにくい。しかも船がスイングするのでなおさら立ちが困難。

 たまにフッコやタチウオがいたずらを仕掛けてくるんだけど、先週とはうって変わってタイからのアタリは遠い。おそらく水曜日から吹き続けている南西風の影響で水温が下がったのでしょう。

 そんな中でもドラマはあった。午後にはいり、右舷胴の常連さんのリール竿にアタリ。すさまじい引き込みを鮮やかにいなしている、うまいっ!浮かせたのは浅場でのレコードとなる5.6kgのマダイだった。

 勇治船長いわく「こんくらいのは何度も食わせてるんだよ。でもみんなバラシちゃう。もっと大きいのだっているんだ」。うー、前回今回の釣果をみていると、非常に説得力のある言葉です。

 この日はわたし、ステラマスターともに大鯛を指をくわえてみるだけの撃沈。とても暑い夏の日だったけどそれ以上にハートは熱いっ!


ついに上げた、4.4kg

 3週連続のチャレンジ。しかしこの日の天候はバッドコンディション。接近中の台風13号の影響で、北東の強風、雨。相模湾ではすでに船を避難させているし、東京湾でも出船しない宿がほとんど。それでもエビタイ船には5人の釣り客が集まり、さらに本日休みのウィリー船の俊之船長、フグ船の健太郎船長も同乗、強力メンバが揃いました。

 猿島、横須賀、小柴、このところのメジャーポイントを変わる変わる攻めます。初ヒットは開始後3時間ほど、それもダブルヒット。キロ級のマダイが揃って取り込まれました。いい雰囲気だー。

 次いで私の隣の手バネの釣り人が大物とのやりとり、浮かせたのは4kgの見事な鯛。ええなー....と羨望のまなざしを向ける私に勇治船長から檄がとぶ「いいさん、そこの席からポイント入ってるんだよ、魚がいいさんの針を通り過ぎてる。食わせるのは腕だよ腕!」。シャクリのインターバルのアドバイスを受けてしゃくり続ける。

 やっとアタリがきたのは11:00。左手で糸を掛けるのもスムース、締め込みも及第点。手にはビンビンとマダイの引きが伝わってきた。「慌てんなよ!」との声も聞こえたけど、慌てるもんですかって(笑)。ヨリモドシも口にくわえて、タモに納めたのは1.5kgの♂。やったね(^^)。

 今日はこれで満足、と思ってたんだけど、最後にドラマが待っててくれちゃった(^^)。13:00、シャクリあげた竿にかすかな重み、「あれ?根ガカリか?」と思いつつとにかく合わせをくれる。少し浮いた、でも引かない。タコかもしれない。さらに締め上げる、ゴクン、首を振った。おっしゃ、タイだー!

 ハリスは6号4.5m、可能な限り締め上げて浮かす。魚が頭を返したら無理せずに糸をだしてやる。魚が止まったらまた締め上げる。この繰り返し。魚の動きが文字通り手にとるようにわかる、自分でも驚くほど落ち着いてたと思う。糸が船下に入った、スクリューに絡まったかもしれない、しかし魚の引きは続いている。気づいた船長が船を取り舵に切ってくれた。糸が前にでた。こうなれば後はミスさえしなければ取れる。ハリスが手にきた。ヨリモドシを口にくわえる。もう相手には余力はさほどない。健太郎船長の差し出すタモに収まったのは4.4kgの♂。

 嬉しい(^^)。手バネにはまって、通い続けて、やっと良型がとれた。他の釣りでとった魚とはちょっと意味が違う。自分が面白いと思っている釣法でとったことに意義がある。

 結局この日は5人で7枚(1.0-4.4kg)、バラシ1回だった。外道にはタチウオ、カサゴが入ってクーラーは賑やかで、さらにタイの尻尾がはみだしていた。


今度こそエピローグ?

 一段落したと思った野毛屋エビタイが、とんでもないスタイルに変身してしまいました^^;。船長に今後の見通しを聞くと「9月いっぱいまでは大鯛狙いできると思うよ。水深は40mくらいまで落ちるかもしれない。まだまだでかいのいるからさ、7kg,8kgが必ずいるよ」との返事でした。秋鯛といえば、小型の数釣り、これは私らの固定観念なのかもしれないと思いました^^;。大鯛はいるところにはいる、それをどう狙うか?というシンプルな問いに対するひとつの答えが野毛屋スタイルのエビタイなのかもしれないです。今後しばらくの注目は、はたしてどのくらいのサイズまでの大鯛が上がるか?ということです。


7kgの大鯛で有終の美。激動の2002年は終わった。

9月17日の火曜日、野毛屋のエビタイレコードを更新する7kgの大鯛が上がりました。
そして、9月18日でエビタイ乗合は終了。まさに、有終の美を飾ったというところです。
これから秋鯛の数釣りシーズンですが、人気のウィリー船を再開させるようです。
2002年、横浜に現れた初のエビタイ乗合は、大成功で幕を閉じたと言っていいと思います。
また来年に期待しましょう。

このページで書いてないですが、野毛屋の釣行は他に2回ありました。

2002.06.23 マダイはボーズ。外道に32cmの大カサゴ、ワニゴチ。船中マダイ2枚。
2002.08.25 第三海堡北40mダチで3.2kgの♀マダイをゲット。船中5枚。

結局、野毛屋エビタイにはちょうど10回乗船しました。今年最も乗った回数が多い釣りでしょう。
今から来シーズンの開幕が楽しみになっています^^。

2002/09/19 Yasuhiro Ii

 

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