独自の魅力がいっぱい、手バネの真鯛

リールの登場(いつの話じゃ^^;)というのは特に深い場所での釣りにとっては一大革命ではないでしょうか。竿の長さよりも遥かに深い場所まで仕掛けを落とせる。しかし、リール登場以前にも、竿に糸枠をつけてそこに糸を格納し、手釣りと竿釣りの融合を図った釣りがありました、それが手バネ釣りです。これが独自の魅力を生み、釣趣溢れる真鯛釣りになっています。

手バネ竿、軽くて丈夫でしゃくりやすいことが要件

手バネ竿の糸巻き部分。枠に糸を巻くようになっています。
写真は半田丸製の手バネ竿です。糸はナイロンを用います。竹岡、上総湊では6号、洲崎では8号を使うのが一般的。上からの棚取りのため、糸には目印を編み込みます。蛍光色のナイロン、ポリエステル1-2号で編み込むのが良いでしょう。

一日中しゃくる釣りのため、軽いことは必須。さらにしゃくりやすいこと、これは言葉で書くのが難しいのですが、しゃくった時の穂先の曲がり、しゃくりを止めたときの穂先の戻りがスムースにいくことです。スミイカ釣りなどでは「穂先の抜けが良い」というように表現したりしますが、しゃくるときに余計な力がいらずにすんなりと竿を操作できるものが良いです、自分に合った竿だと疲れが残りません。強度については、この釣りは穂先を跳ね上げる操作(通常の釣りでは竿に乗せる操作)がはいるため、竿に多大な負荷が掛かるからです。肘を中心にして竿を回転させるので、竿は上を向き、下方向への力が掛かります。手バネの他にも鴨居シャクリ、イシダイカカリ釣り、アオリイカ釣りなどではこの操作を行うせいで竿に掛かる負担は大きいです。
#実は私もこれを書いている前にイシダイ釣りでこの操作を行い、竿を一本折っています^^;。


 

竹岡ではブランコ式テンヤ、洲崎では固定式

1.5-2号のテンヤオモリに糸を通して打ち付けたテンヤを使います。針とオモリを分離させたブランコ式にするのが竹岡沖の特徴、鴨居の固定式に比べ、食い込みの良さが特徴です。対して水中でのエビの姿勢についてはコントロールできないです。これは頻繁にシャクリを入れる竹岡に対し、待ちの状態で食わせる鴨居と、釣り方の差が仕掛けに現れているところでしょう。

洲崎ではブランコ式は使わず、6号前後の固定式テンヤ、あるいはビシマと同様にカブラを使うことが多いようです。カブラの特徴は、打つ段階で針の角度をコントロールしやすいことが挙げられます。

 写真下は竹岡式のテンヤ。写真上は豊国丸の船宿テンヤ、下は半田丸製のテンヤで小針仕様です。


 

餌はアカエビ、付け方は尻刺し。

餌のエビは尾羽を切り、第一間接に浅く刺した後に腹に抜き、チモトまで針を抜いてから針先を反転させ再度刺し背に抜きます(言葉の説明じゃわからんか^^;、写真ないのがごめんなさい)。孫針は腹に親針と反対側に打ちますが、竹岡丸の川島船長は殻にサイドから針を打つように教えてくれました。いろいろな流儀があります。

エビが小さいときは2尾掛けをしますが、これは鴨居式のところで詳しく述べるようにしたいと思ってます。また、カブラの場合はこれまたビシマ同様、尾羽を切り腹側に針先を出す方法。

エビの刺し方は数多いですが、どの付け方にも共通なのは「必ずセンターをキープすること」。これが鉄則になります。

船長の指示棚にあわせ、シャクリ開始

釣場につくと、船長から棚指示があります。「上から20ヒロ」これはテンヤから海面までの距離ですが、宿によってはテンヤから竿先の距離の場合もあります。初めての宿では「どこからどこまで?」と船長に確認するのが無難でしょう。また、1ヒロは1.5mが多いですが、これも宿によって異なる場合がありますので、わからない場合は確認しておくにこしたことはありません。

糸が張り、潮に馴染んだらシャクリ開始。テンヤまで張っていればしゃくるときに重みが伝わりますので、この感触を覚えましょう。糸が張り切っていない場合、間違えて糸を出しすぎてテンヤが底についている場合などは、しゃくったときの重量が軽くなります。

シャクリ間隔は13秒が基本、これは豊国丸の船長に教えてもらいました。しゃくり方は竿を振り上げテンヤを踊らすように。ただし、相手はお魚という生き物。気分がハイなときもあれば、ブルーな日もあるでしょう。さらに潮の流れも千差万別、糸のフケや張り方も変わります。インターバルは13秒を基本に、長くあるいは短く、しゃくり方も大きく、時には小さく、強くまたは弱く、色んなパターンを試してみるのがいいかと思います。

アワセは糸を手繰ってしっかりと

アタリのあったとき、針はまだ鯛の顎を貫通していないと思っていてください。針を刺すのは竿ではなく、手で糸を手繰ることにより行います。右手で竿を立て、正面にある糸を左手で内側から引っ掛ける、そして右手で竿と糸を一緒に持つ、これを魚が止まるまで行います。魚が止まったら、右手に持っている竿を置き、両手で手繰りの動作にはいります。大型であれば糸を出し、場合によっては竿を水中に投げて尻手糸によるやりとりを行います。

手バネしゃくりに限りませんが、エビ餌のタイ釣りにおいては、このアワセ方の巧拙が、もっとも釣果を左右するのではないかと私は考えています。

2001/8/13 Yasuhiro Ii

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